2021年07月28日 14:00 〜 15:30 オンライン開催
「新型コロナウイルス」(69) 舘田一博・東邦大学教授

会見メモ

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の構成員などを務める舘田一博・東邦大学教授が登壇した。

新規感染者数が東京都で過去最多を更新するなど感染が急拡大する中、東京オリンピックが開催されている。

これまでの感染拡大の状況を振り返った上で、現状を解説するとともに、今後の対策のあり方、ワクチン接種を進める上での課題などについて話した。

またオリンピック、パラリンピックの開催のあり方に関する質問などにも答えた。

 

 司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

有事の司令塔機能が必要

吉田 清久 (読売新聞社編集委員)

 登壇した7月28日、新型コロナの新規感染者が全国で過去最多の9582人を記録した。重大局面での記者会見となった。

 冒頭、急拡大する新型コロナウイルスについて、「緊急事態宣言が出て2週間になるが、(感染者数の)上昇傾向がピークアウトしない。危険な状態になりつつある」「医療逼迫が少しずつだが、確実に進む」と、強い危機感を示した。そのうえで「早め早めに強い対策をとることが必要だ」と訴えた。

 東京五輪がメダルラッシュで盛り上がりを見せる中で、感染拡大に歯止めがかからない。

 そんな状況を踏まえ、国民の間に「無関心」「非協力」の心理が増幅されていると指摘し、「大会中だからといって対策を躊躇してしまうことはあってはならない」と警鐘を鳴らした。

 ここに来て、発症の初期段階から使える「抗体カクテル療法」が承認された。治療薬・治療法に新しい動きがあることについては、「この秋以降に新しいフェーズに入ってくる」と期待感を示した。

 新型コロナ対策で何よりも重要なのはワクチン接種だ。ただ、アメリカやイギリスなど、接種が進んでいる国でも感染拡大が収まらない。

 背景にあるのが、人々の間に「ワクチン忌避」の空気があることだ。この点に関連し「特に若い人の接種率をどうやってあげるかだ。集団防御の効果など教育、啓発が必要だ」と呼び掛けた。

 今後の感染症対策については、「次のパンデミックは必ず起きるという危機意識が重要だ」と強調、「有事における司令塔機能、サージ・キャパシティ(許容能力)の確保が必要だ」とした。具体的に病床、検査体制、保健所、マンパワーなどを挙げた。

 新型コロナウイルスの流行が始まって1年半になる。舘田氏の「感染症に強い社会の構築」という言葉が耳に残った。


ゲスト / Guest

  • 舘田一博 / Kazuhiro Tateda

    東邦大学医学部医学科教授 / Professor, Toho University

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:69

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