2021年07月19日 15:30 〜 16:30 オンライン開催
桐野夏生・日本ペンクラブ会長 会見

会見メモ

5月に日本ペンクラブの第18代会長に就任した作家の桐野夏生さんが登壇した。

日本ペンクラブの会長に女性が就任するのは設立以来初。桐野さんは会長就任の経緯、コロナ禍で変化する社会の中で日本ペンクラブが果たすべき役割、今後の活動方針などについて話した。

 

司会 田玉恵美 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

フラットで気軽な組織に変革/若い人の参加を増やしたい

石鍋 仁美 (日本経済新聞社編集委員兼論説委員)

 「これから自由にものを書いていけるか、若干の危惧があった」。そうした思いから日本ペンクラブに入会。今年女性では初の会長に選ばれた。ペンクラブは国際ネットワークを持つ組織で、海外では女性の会長は珍しくない。

 日本も遅ればせながら企業などで女性登用が目立つ。「自分が選ばれたのもブームのひとつかも」とも思う。しかし創作を含め、あらゆる場面でジェンダーという視点が欠かせなくなっていることも事実。「私が引き受けなければ、この先また何年も(会長に)女性が選ばれないのでは、との思いからあえて引き受けさせていただいた」

 取り組みたいのは会員の増加だという。特に若い人たちにもっと入ってもらい「今の世の中は変だ」「もっと自由が必要」と一緒に声を上げてほしいと考える。若い世代は主にSNSでカジュアルに異議申し立てを発信することが多い。一方、ペンクラブのステートメントなどは「まだ硬く、上から」。フラットで気軽な組織にし、学者や編集者などへももっと扉を広げ「いろんな声を拾いあげたい」と構想する。

 いま、コロナ禍による差別や分断に危うさを覚えるそうだ。感染症の解決には国の管理が不可避。そのため政府による監視や人々の相互摘発を良しとする土壌が広がる。ペンクラブの活動も時代の変化に対応しないと、と思う。

 設立からまもなく90年。「規約などでがちがちに決まっている部分が多く、改革できることは少ない」と実感する部分もある。「女性会長でペンクラブのイメージが変わるだけかもしれない。それでもいい」と割り切り、発言し行動する。「作家が忖度するようになったらおしまい」だと信じるからだ。

 原点を守るためにこそ、形ややり方は変えていく――。静かな決意が伝わる会見だった。


ゲスト / Guest

  • 桐野夏生 / Natsuo Kirino

    一般社団法人日本ペンクラブ会長 / President, The Japan P.E.N. Club

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