2021年07月21日 13:00 〜 14:00 オンライン開催
ケビン・シュナイダー在日米軍司令官 会見

会見メモ

今夏任期を終える予定のケビン・シュナイダー在日米軍司令官が、今後の在日米軍や日米同盟の展望などについて話した。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

通訳 西村好美、大野理恵(サイマル・インターナショナル)

 

動画(日本語通訳)

動画(英語通訳)


会見リポート

中距離ミサイル 日本の決断迫る

問山 栄恵 (琉球新報社東京支社報道グループ長)

 日米両首脳は4月の共同声明に52年ぶりに「台湾」を明記し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した。共同声明後に開かれた今回の会見で注目を集めたのは、軍事面で覇権主義的な動きを強める中国への対処や台湾海峡情勢だった。

 今夏任期を終えるシュナイダー中将は台湾有事の可能性については「臆測は避ける」と言及を避けたが、中国に対しては「中国は攻撃的で悪意ある形でしか軍事力を使っていない」と強く批判した。尖閣諸島周辺での中国海警局船による領海侵入についても「中国はありもしない主権を確立させようとしている」と述べ、尖閣の領有権で中立政策を取る米国の立場から踏み込んだ発言もした。

 同盟国との「役割分担」を打ち出すバイデン政権下で、今後焦点となるのがアジア太平洋地域への地上発射型の中距離ミサイルの配備である。「日本がどういう装備能力を持つのか、装備を米国が日本に持ち込むということを認めるのか、日本政府が決めるべきだ」と重い選択を突き付けた。「この地域の米軍のプレゼンスは朝鮮戦争の時からほぼ変わっていない。いまこそ兵力の態勢を考えないといけない」と述べ、国防総省が進める世界的な米軍の態勢見直しで在日米軍も対象になる考えを示した。年内には2プラス2もある。日本の役割とともに2012年の在日米軍再編見直しからどう変わるのか注視したい。

 一方、米軍基地が集中する沖縄では中国をにらんだ訓練が強化され騒音や米軍機の低空飛行など基地負担が増している。住民への配慮をみせつつも「何よりも重要なのは私どもの存在だ。訓練や即応能力がなければ、日本、米国のためにもならない」と任務優先の姿勢を崩さなかった。住民の理解と支持を欠く中での基地の維持は米国がこだわる民主主義への信頼を損なうだけでなく、安定的な基地運用を難しくするほかない。


ゲスト / Guest

  • ケビン B. シュナイダー / Kevin B. Schneider

    米国 / U.S.

    在日米軍司令官 / Commander, United States Forces Japan

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