2021年06月09日 13:30 〜 15:00 オンライン開催
「新型コロナウイルス」(63) 国産ワクチン開発の現状 森下竜一・大阪大学大学院教授

会見メモ

大阪大学発のバイオベンチャー企業、アンジェスはDNAワクチンの開発を進めているが、実用化には至っていない。

創業者で大阪大学大学院教授の森下竜一さんが登壇し、開発の現状、日本がワクチン開発に出遅れた要因、今後必要となる政策のあり方などについて話した。

司会 黒沢大陸 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

貧弱だった開発・生産体制/大規模臨床に代わる評価課題

小川 祐希 (毎日新聞社くらし医療部)

 欧米の大手製薬企業が新型コロナウイルスワクチンを実用化した一方で、日本は開発競争で遅れている。大阪大学大学院教授で同大発の製薬ベンチャー、アンジェスと共にワクチン開発に取り組む森下竜一氏は、日本は政府も製薬企業も感染症のパンデミック(世界的大流行)に「準備不足だった」と指摘した。

 米国では大手製薬ファイザーやベンチャー企業のモデルナが、新型コロナの発生から1年以内にワクチン開発に成功した。短期間で開発できた背景には、2001年の炭疽菌事件を契機に、政府がバイオテロに対する危機感を強めたことがあるという。政府や軍が先端技術を持つベンチャー企業に資金提供し、開発や生産体制の構築を支援してきた。

 一方で日本政府は企業への支援を怠り「ビジネスにならないために、企業も開発に取り組んでこなかった」。今後、日本由来の変異株が発生した場合に「海外企業が対応してくれるとは限らない。日本だけが『鎖国』になりかねない」と、国産ワクチンの必要性を強調した。

 ただ、国産ワクチンの実用化には課題も多い。アンジェスはウイルスの遺伝情報を使った「DNAワクチン」を開発中だ。本来なら、大規模な臨床試験で有効性と安全性を評価する必要がある。しかし、世界的にワクチン接種が進む現状では参加者を集めるのが難しく、現実的ではない。一方で、政府は代わりの評価方法をまだ決めていない。実用化のめどについて「政府の決定がないと答えられない」と明言を避けた。

 政府は今月、国産ワクチン開発の新戦略を閣議決定した。平時からの備えに重点を置き、基礎研究から実用化までの体制を見直す。「安全保障の観点から定められたのは重要で、画期的だ」と評価。国際貢献のために「アジアの国々にも供給できるよう、数億人規模の生産体制を構築してほしい」と政府に要望した。


ゲスト / Guest

  • 森下竜一 / Ryuichi Morishita

    大阪大学大学院教授 / Professor, Osaka University

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:63

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