2021年05月25日 14:00 〜 15:30 オンライン開催
「バイデンのアメリカ」(9) 朱建栄・東洋学園大学教授

会見メモ

バイデン米政権下における米中関係や香港、台湾、新疆問題について、中国側の視点をまじえ朱建栄・東洋学園大学教授が話した。

司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

日本は中国に助言を/中台統一は未来の課題

森 保裕 (共同通信社論説委員)

 長期にわたって日中の懸け橋役を果たしてきた朱建栄氏は、米中対立が激化する中で「米国は日本を対抗の最前線に追いやろうとしている。日本は火中の栗を拾わず、中国に対する建設的なアドバイザーを務めるべきだ」と呼び掛けた。

 「メンツにこだわる中国だが、内心は世界の作法を習得し、尊敬されたいと考えている」とし「東洋と西洋をつなぐ日本は一番助言ができる立場にある」と主張する。

 尖閣対立や人権問題などから日本では反中感情が強まり、米国と日欧など同盟国は対中けん制を強める。確かに今こそ日中間の率直な対話が必要な時はない。

 日本は、中国が新興大国として国際社会の信頼を得たいなら、経済発展のほか、国際協調や人権擁護が不可欠だと伝えることになろう。

 台湾問題について朱氏は「中国は近代化(経済発展)を最優先しており、台湾統一は未来の解決にゆだねている」とし「尖閣諸島奪取はあり得ない」と述べた。

 香港への統制強化に関しては「香港民主化を後押しする米国の揺さぶりに対抗し、軍の介入を回避したかった。その後、大規模なデモや住民の流出、株価下落は起きていない」と中国政府の立場を説明した。

 新疆の人権問題については「テロや独立派、過激派対策のため再教育センターが設けられ、再就職支援教育も実施された」としながら「100万人強制収容はつくり話だ」とし、中国は新疆を世界に積極的に見せるべきだと強調した。

 バイデン米大統領の対中政策については、トランプ前政権と同様に中国を「最大の競争相手」と位置付け、人権問題などでけん制を強めるが、地球温暖化や北朝鮮の問題では協力復活の可能性があると分析。バイデン氏と中国の習近平国家主席はナンバー2時代が重なり「2年間で両氏の会談・会食は計25時間に及ぶ」として両首脳のパイプに期待を寄せた。


ゲスト / Guest

  • 朱建栄 / ZHU Jianrong

    東洋学園大学教授 / Professor, Toyo Gakuen University

研究テーマ:バイデンのアメリカ

研究会回数:9

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