2022年06月16日 14:30 〜 15:30 9階会見場
中川俊男・日本医師会会長 会見

会見メモ

6月末で退任する日本医師会の中川俊男会長が登壇。

2020年6月の着任から約2年にわたる新型コロナウイルス感染症への対応を振り返るとともに、日本医師会としてのかかりつけ医機能についての考え方について話した。

 

司会 猪熊律子 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)


会見リポート

「点数つけることはできない」

神足 俊輔 (毎日新聞社くらし医療部)

 2020年6月に会長職に就いてから2年間、日本の医療界の代表として新型コロナウイルスへの対応に奔走し、情報発信を続けてきた。記者会見の冒頭では「久しぶりにマスクを取って話す。ずっとマスクをしたまま話していたので、顎関節症になって口が大きく開かない」とおどけてみせた。

 検査体制や医療体制の確保にワクチン接種。流行株の違いで異なる対応が必要となる新型コロナに「都道府県医師会などと手を携えて闘ってきた」と振り返った。

 21年5月に菅義偉首相(当時)が「ワクチン1日100万回接種」を打ち出したときは驚いたというが、「全国の医師会に『医師会の底力を見せようじゃないか』とお願いしたところ、ピーク時には1日170万回を達成した」と胸を張った。

 新型コロナ下ではたびたび医療体制が逼迫した。「医療現場はまさにギリギリの状態だったが患者を守った。(緊急度や症状に応じて治療の優先順位を決める)トリアージはしていない」と強調。ただ、病床は「十分に確保できないことがあった」とした上で、「新興感染症への備えがなかった」と、平時からの計画が必要だと主張した。

 次期会長選挙には立候補せず、6月下旬に退任することが決まった中で臨んだ会見になった。「政権にも是々非々で対峙する」との自身の姿勢については「政府に厳しいことを言ったという自覚はない。(緊急事態宣言の発令など)あるべき姿は提案したが、それを厳しいと言われると違う。政府のコロナ対策には常に協力したつもりだ」と話した。

 2年間の評価を問われると、「点数でつけることはできない。力不足はあったが、失敗したな、という思いはあまりない」と述べ、「日本の医療が進む道は財政面も含め険しい。これからも協力していきたい」とも語った。


ゲスト / Guest

  • 中川俊男 / Toshio Nakagawa

    日本医師会会長 / Chairman, Japan Medical Association

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