2021年04月16日 11:30 〜 13:00 10階ホール
「新型コロナウイルス」(58) 医療提供体制に関する提言 小林慶一郎氏、湯﨑英彦・広島県知事ら

会見メモ

写真左から大橋博樹氏、草場鉄周氏、小林慶一郎氏、佐藤主光氏、土居丈朗氏、森山美知子氏、湯﨑英彦氏、渡辺幸子氏。

 

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会委員を務める小林慶一郎氏ら有志から成る「コロナ危機下の医療提供体制研究会」(座長=小宮山宏・三菱総合研究所理事長)が、コロナ感染拡大の第4波への備えや医療提供体制の強化に向けた政策提言をまとめた。メンバーのうち小林慶一郎・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、湯﨑英彦広島県知事、草場鉄周・日本プライマリ・ケア連合学会理事長、森山美知子氏・広島大学大学院教授ら8人がリモートで会見。行政、医師、看護師それぞれの立場から、医療提供体制をめぐる構造的問題を説明するとともに、短期・中長期で必要となる政策について話した。同研究会が提言を発表するのは2020年9月に続き2回目。最終的な提言は今年夏から秋に取りまとめる予定。

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)

 

■プレゼンテーション資料

小林慶一郎氏 

草場鉄周氏

森山美知子氏 ※資料を更新しました。(4/26)

日本看護協会プレスリリース「2019年病院看護実態調査」結果 (2020年3月30日)


会見リポート

緊急時の医療資源動員制度を

行方 史郎 (朝日新聞社論説委員)

 新型コロナの感染が再燃するなか小宮山宏・三菱総合研究所理事長を座長とする研究会が昨年9月に続き、コロナ危機下における医療提供体制について提言を発表した。

 短期と中長期の課題をそれぞれ挙げ、また平時と緊急時の対応を分けたのが特徴だ。

 小林慶一郎・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹からは、足元の「第4波」への備えとして、「検査+追跡+隔離」の充実が不可欠であり、保健所へのテコ入れのため潜在看護師を人材として活用する案が紹介された。重症者への対応能力を拡大させる一環として、病院での受け入れ状況を「見える化」して評価することが重要との指摘もあった。

 コロナ危機では、欧米より感染レベルがはるかに低いのに医療逼迫が起きるという構造的課題も明らかになった。▽ICUに対応できる人材不足▽医師・看護師が地域で広く薄く分散▽コロナ対応に関わらない病院も少なからず存在、などの問題点を挙げ、緊急時に必要な資源を動員できる制度の必要性に言及した。

 湯﨑英彦・広島県知事からは、緊急時の医療態勢構築について現状報告があった。医療機関の役割分担について「話し合い」がベースになるやり方には限界があり、一定の強制力を持った枠組みの必要性を指摘。また、平時における問題点として、医療機関の偏在に加え、地域や診療科における医師の偏在を挙げた。

 日本プライマリ・ケア連合学会の草場鉄周理事長は、地域のかかりつけ医がコロナ対応で果たすべき役割と将来的な制度設計について紹介。森山美知子・広島大学大学院教授からは、看護師の置かれた現状と構造的問題が具体的に示され、なかでも看護師の持つ権限や技術への評価については改善の余地を強く感じさせるものだった。

 研究会では今年夏ごろに最終提言を公表予定。


ゲスト / Guest

  • 大橋博樹 / Hiroki Ohashi

    多摩ファミリークリニック院長

  • 草場鉄周 / Tesshu Kusaba.

    日本プライマリ・ケア連合学会理事長

  • 小林慶一郎 / Keiichiro Kobayashi

    キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、東京財団政策研究所研究主幹

  • 佐藤主光 / Motohiro Sato

    一橋大学大学院経済研究科教授

  • 土居丈朗 / Takero Doi

    慶應義塾大学経済学部教授

  • 森山美知子 / Michiko Moriyama

    広島大学大学院医系科学研究科成人看護開発学教授

  • 湯﨑英彦 / Hidehiko Yuzaki

    広島県知事

  • 渡辺幸子 / Sachiko Watanabe

    グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン代表取締役社長

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:58

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