2021年03月10日 14:00 〜 15:00 オンライン開催
ミハイル・ガルージン駐日ロシア大使 会見

会見メモ

ミハイル・ガルージン駐日ロシア大使が登壇し、バイデン米政権誕生後の国際情勢やコロナパンデミックへのロシアの対応、日ロ関係について話した。

司会 西村陽一 日本記者クラブ企画委員長(朝日新聞)


会見リポート

国境協議、核心避け淡々と

大前 仁 (毎日新聞社外信部)

 ロシアのミハイル・ガルージン駐日大使が日本記者クラブの会見に臨んだ。過去の首脳会談で通訳も務めてきた外交官だけに、流ちょうな日本語を操り、1時間の会見を軽くこなした印象が強い。

 最も注目されたのは昨年7月に発効されたロシアの改正憲法で、自国領の割譲を認めない原則を明記しながらも、近隣国との国境画定や線引きの話し合いを例外規定として設けている点だ。この関係では、プーチン大統領が2月に「ロシアの法律に反する行為は一切やらない」と発言していた。日本との国境画定協議は例外規定に当たるのか。この点を問われたガルージン氏だが「憲法解釈をする立場にない人間だ」との回答にとどめた。

 一方でロシアが望む平和条約のあり方については「戦争直後に締結されるタイプの文書ではないはずだ」「平和、善隣、友好、パートナーシップの形を取るべきだ」と主張。「その後に、お互いに関心を持つ問題の議論が可能だと思う」とも語った。これがどのような意味なのかを問いただす質問も出ず、大使自身も話さなかった。これまでのロシアの主張を踏まえれば、何らかの形で条約を結んだ後ならば、国境画定協議に臨めるとの立場を示唆したとも受け取れるが、これは受け手の推測にとどまっている。

 もう一点関心を集めたのはロシアが開発に成功した新型コロナウイルスのワクチン「スプートニクV」の存在だ。ロシアはワクチン提供を材料にして、国際社会で影響力の拡大に努めているとも言われ始めたのだが、ガルージン氏は「ワクチン外交との表現は使わない」と反論してみせた。この先に日本がロシア産ワクチンを認可する見通しを問われても「日本政府が肯定的な態度を取ることを期待する」と答えるのみ。こちらも踏み込まず、外交官らしい回答に徹した形だ。


ゲスト / Guest

  • ミハイル・ユーリエヴィチ・ガルージン / Mikhail Y. GALUZIN

    ロシア / Russia

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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