2021年02月26日 11:00 〜 12:00 オンライン開催
ラフマーニ駐日イラン大使 会見

会見メモ

モルテザ・ラフマーニ・モヴァッヘド駐日イラン大使が、米バイデン政権誕生など国際環境の変化への対応について話した。

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)

通訳 稲見誉弘(駐日イラン大使館)


会見リポート

イラン核合意、「最初の一歩は米国が」

浅見 麻衣 (時事通信社外信部)

 トランプ前米政権が2018年に一方的に離脱し、バイデン新政権が復帰を検討しているイラン核合意について、ラフマーニ大使は「最初の一歩は米国が踏み出すべきだ」と述べ、一貫して米国による制裁解除が先だとの姿勢を示した。  

 トランプ前政権がイランへの制裁を再開して以降、反発したイランは核合意で定められた取り決めを次々と逸脱。イラン国会では昨年12月、核開発の大幅強化を政府に義務付ける法律が成立し、今年2月には未申告の核施設への国際原子力機関(IAEA)による抜き打ち査察などを認める「追加議定書」の履行を停止した。  

 バイデン政権は制裁解除の前提条件としてイランに核合意の全面履行を求めているが、ラフマーニ大使は「米国がそのように主張する資格はない」と一蹴。大使のメッセージは明確だ。「米国が核合意に復帰する声明を出せば、我々も同じような声明を出す。米国が一部の履行義務を果たすならば、我々も同じことをする。行動に対して行動だ」

 ただ、あくまで核合意の維持を望む立場だとも強調した。IAEAのグロッシ事務局長と現行の基本的査察を最長3カ月間継続することで合意したのは、外交による解決がまだ可能であることの証左だとし、米国に加え、イランとの経済活動をほぼ停止した核合意当事国の英仏独を念頭に、「国際社会が具体的な措置を取ることを期待している」と呼び掛けた。   

 一方、米国の対イラン制裁により日本や韓国で凍結されているイラン資産をめぐり、イランと日韓がそれぞれ使途や金額で合意したとする報道に関しては、「最終解決には至っていない」と指摘した。日本側には、凍結資産を医薬品や食料の購入などに充てる方針を説明したといい、「実現可能な金融上のメカニズムを日本が提示するのを待っている」と期待を込めた。


ゲスト / Guest

  • モルテザ・ラフマーニ・モヴァッヘド / Morteza Rahmani Movahed

    イラン / Iran

    駐日イラン大使 / Ambassador of the Islamic Republic of Iran

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