会見リポート
2021年02月19日
11:00 〜 12:00
オンライン開催
「3.11から10年」遠藤雄幸・川内村長
会見メモ
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故から10年を前に、川内村の遠藤雄幸村長がリモートで会見した。
川内村は福島第一原発から20キロメートル圏内と圏外の境界を抱える。
遠藤村長は「(原発事故の)最大の被害は住民間の軋轢と人間の尊厳損失につながったこと」と説明。2016年6月に避難区域は解除されたものの、20キロ圏内と圏外では帰村率にはなお差が残る現状を示した上で、「逃げるオペレーションは簡単だが、戻るオペレーションは難しい。自分の故郷に戻るのがなぜこんなにも難しいのか、この10年間ずっと感じてきた」と話した。
司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)
会見リポート
最大の被害は「住民間の軋轢」
山崎 理史 (福島民報社双葉南支局長)
川内村は阿武隈山地にある人口2500人ほどの村。遠藤雄幸村長は原発事故に伴う混乱の中で全村避難や帰村宣言など厳しい判断を迫られてきた。「しびれるような思いをしたこともあったが、原発事故を経験し、村の宝物を再認識することができた」と前向きな言葉が並んだ。
原発事故による最大の被害に住民間の軋轢を挙げた。帰還時期や賠償の多寡、放射線に対する感じ方の違いなどにより対立が生まれ、行政への風当たりも強かったという。行政と住民の信頼関係を再構築するために「住民の思いに寄り添い、期限を切って方向性を示す作業を愚直に続けてきた」と振り返る。
遠藤村長の講演は何度も聞いているが、毎回内容が更新され、新鮮な驚きがある。双葉郡8町村で原発事故当時から首長を務めているのは遠藤村長だけになった。風化が進む中、これからも生きた経験を発信してほしい。
ゲスト / Guest
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遠藤雄幸 / Yuko Endo
福島県川内村長
研究テーマ:3.11から10年
研究会回数:10