会見リポート
2021年02月12日
13:00 〜 14:00
オンライン開催
「3.11から10年」 戸羽太・陸前高田市長
会見メモ
岩手県陸前高田市の戸羽太市長がリモートで会見し、震災10年を前にこの間の復興を振り返るとともに、今後の課題について話した。
陸前高田市では大規模な土地区画整理事業で宅地造成したものの、多くの空地が残る「空地問題」が課題となっている。
戸羽市長は、「空地問題の解消は責務」としながらも、復興計画の一番の肝は「二度と津波で命を落とすことがない、安心・安全なまちをつくることにあった」と強調。「政府、メディアが考える理想的な復興はどこにあったのか。被災地が考える復興と一致していたのか。復興の中身ばかりが取り上げられ、人の命を守れるのかというところに話が行かないことを懸念している」と述べた。
司会 坪井ゆづる 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)
会見リポート
「次」に備え、空き地問題検証を
久慈 省平 (テレビ朝日報道資料部長)
就任わずか1カ月で震災を経験した戸羽市長のもと、復興が進む陸前高田市だが、かさ上げされた市街地の空き地が新たな課題となっている。人口増を前提とした復興計画に無理があったという批判もあるが、戸羽市長は「住民に前を向いてもらうためのものだった」と話し「人々が悲しまないことが一番の復興」と強調した。
この10年を「時間との闘いだった」と振り返り、集団移転や土地区画整理の事業は手続きが煩雑だったと指摘。「次の災害でも空き地問題は繰り返す。この節目で課題を検証するべき」と国に提言した。「復興庁も県庁も地域のことはわからない。もっと市町村に権限を移譲してほしい」という切実な訴えは同市だけのものではないだろう。
〝奇跡の一本松〟などを使った防災を学ぶ観光は順調で、1カ月に10万人を超えることもあるという。震災直後に掲げた「二度と津波で泣かない街」の実現に期待したい。
ゲスト / Guest
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戸羽太 / Futoshi Toba
岩手県陸前高田市長 / Mayor of Rikuzentakata city, Iwate Prefecture
研究テーマ:3.11から10年
研究会回数:6