2020年11月13日 16:30 〜 17:00 10階ホール
高橋昌幸・神恵内村村長 会見

会見メモ

高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の地層処分地選定に向けた第1段階となる文献調査について、北海道神恵内村は10月9日、経済産業相からの申し入れを受け入れた。

高橋昌幸村長がオンラインで会見し、申し入れまでの経緯や決断に至った理由、今後の進め方などについて話した。

神恵内村は、泊原子力発電所が立地する泊村に隣接する。人口は約800人。

司会 坪井ゆづる 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)

 


会見リポート

「核のごみ」処分場選定問題/知事反対すれば「従う」と明言

佐々木 馨斗 (北海道新聞社東京報道センター)

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に関する国の申し入れを受諾した北海道神恵内村の高橋昌幸村長が、オンラインで会見に応じた。原発の立地自治体として核のごみの問題に向き合う責任と処分場の必要性について、落ち着いた表情で淡々と語った。

 冒頭、北海道電力泊原発(北海道泊村)の立地自治体の一つとして、半世紀にわたって原発と向き合ってきたことに触れ、「この問題を避けることなく、国の政策ときちっと向き合う責任がある」と、選定プロセスの第1段階に当たる「文献調査」を受諾した理由を説明した。その上で、約800人いる村民の賛否について「(受諾に)反対する村民もいるが、そんなに多くはない。処分場の問題への理解と関心が他の地域よりも高いのだろう」と述べた。

 2年間の文献調査を受け入れた自治体には、国から最大20億円の交付金が支給される。この交付金について問われると「村が今後長い間やっていく上で、20億円はそれほど大きな金額だとは思わない。20億円や100億円で村を売れますか。私は1千億円以上出されても村は売れない」と気色ばみ、交付金を理由に決断したわけではないことを強調した。

 印象的だったのは、第2段階の概要調査に進む前に「反対」を表明する意向を示している鈴木直道北海道知事への対応だ。高橋村長は「概要調査に進むには、国が知事や村長の意見を尊重する。知事が概要調査を受け入れられないなら、それに従わなければならない」と、知事の意向に従う考えを明言した。同じく最終処分場選定に応募した北海道寿都町の片岡春雄町長が、知事に反発姿勢を示しているのとは対照的だ。

 ただ、2年間の文献調査中に、鈴木知事の意思が絶対変わらぬという保証はどこにもない。概要調査に進むか進まぬかは、地層の調査結果と知事の意思に委ねられている。


ゲスト / Guest

  • 高橋昌幸 / Masayuki Takahashi

    日本 / Japan

    北海道神恵内村長 / mayor of the village of Kamoenai in Hokkaido

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