2020年10月26日 15:00 〜 16:00 10階ホール
学術会議任命拒否撤回を求める学者有志 会見

会見メモ

日本学術会議が推薦した会員候補のうち6人の任命が拒否された問題で、鈴木淳・東京大学大学院教授と古川隆久・日本大学教授が呼びかけ人となり、撤回を求める署名をネットで募った。10月12日正午までに14万筆以上が集まり、翌13日に内閣府に提出した。呼びかけ人の両氏と、賛同人の1人である瀬畑源・龍谷大学准教授が会見し、署名を集めた経緯やその反響などについて話した。

司会 坪井ゆづる 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)

 

写真左から古川氏、鈴木氏、瀬畑氏


会見リポート

「任命拒否決断の文書公開を」

中村 直人 (読売新聞社科学部)

 日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命を、菅首相が拒否した問題が波紋を広げている。この人事の撤回を求めるため、14万人余りの署名を集めた大学教授らが活動の経緯を説明するとともに、改めて事態の収拾を政府側に訴えた。

 古川隆久・日本大学教授は会見の冒頭、任命されなかった科学者と旧知の間柄だったことを明かし、「(政府による)異論封じにつながりかねない。何かした方がいいんじゃないかと思った」と心境を語った。

 インターネットによる署名活動は、この問題を多くの国民にアピールするために行ったという。10月3日のスタートから2日間で10万筆に達したといい、古川氏は「このニュースに驚いたり、怒ったり、いろんな不安を抱いた方々の受け皿になったんじゃないか」と分析した。

 学術会議は、科学者の団体が戦争に協力したことへの反省から、政府機関でありながら、独立して職務を行うと法律で定められている。鈴木淳・東京大学大学院教授は、「学術会議の独立は(会員の)任命が形式的であることで担保されている」として、今回の人事が学術会議の独立性を損なう恐れがあると訴えた。

 また、瀬畑源・龍谷大学准教授は政府側が任命拒否を「適法」であると強調する一方、その理由を説明していないことに関し、公文書管理の観点から切り込み、「どうして6人が外されたのか、意思決定に至る公文書が作られていなければ法的におかしい」と主張。「政府はなぜそういう決断をしたのかきちんと文書を公開した上で、信を問うべきだ」と提起した。

 菅首相は、学術会議の組織改革に乗り出す意向を示している。改革の成否には、政府が任命拒否に関する説明責任を十分に果たせるかどうかが影響するとみられ、今後の動向に注目が集まる。

 


ゲスト / Guest

  • 鈴木淳

    東京大学大学院教授

  • 古川隆久

    日本大学教授

  • 瀬畑源

    龍谷大学准教授

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