2020年11月16日 12:00 〜 13:00 10階ホール
茂木敏充外務大臣 会見

会見メモ

茂木敏充外務大臣が登壇し、新型コロナウイルスの経済の影響、ポストコロナにおいて日本が果たすべき役割、米大統領選後の国際社会の動向と日本の外交政策について話した。

茂木氏は2019年9月の第4次安倍第2次改造内閣で外務大臣に就任。今年9月に発足した菅内閣で再任された。

司会 西村陽一 日本記者クラブ企画委員長(朝日新聞)


会見リポート

会見の半分がコロナ関連に/米新政権でも米中対立は続く

秋田 浩之 (日本経済新聞社コメンテーター)

 米中の対立、緊張が高まる台湾海峡や南シナ海、そして北朝鮮の核危機…。日本が直面する外交の課題はたくさんある。

 ところが、茂木外相は冒頭発言のほとんどを新型コロナウイルスの問題に割いた。コロナ危機がどれほど日本外交に重い試練をもたらしてきたか、改めて痛感させられた。

 コロナ発生直後、世界各国は事実上、国境を閉じた。このため仕事や留学、観光で各地に滞在していた1万人超の日本人が取り残されてしまった。茂木外相はどのようにそうした日本人の安全を確保し、帰国を支援してきたか説明した。

 一例として挙げたのが、アフリカでの対応である。今春時点、日本人はアフリカの15カ国に取り残されていた。しかも、日本への定期便が残っていたのは、エチオピアの首都アディスアベバだけ。そこで、現地の日本大使館や総領事館とシミュレーションを重ね、安全に移動できる10のルートを考案。それらを使ってアディスアベバに移動してもらい、帰国を実現したという。

 むろん、コロナ危機は日本だけでは解決できない。茂木外相の説明は感染対策をめぐる各国との協力、凍結されている人的往来の再開、さらには感染が国内経済に及ぼす影響やリモートワークなどにまで及んだ。

 ようやく他の話題に転じたと思ったら、会見時間のほぼ半分に当たる30分弱が過ぎていた。日本外交は今年、これほどコロナ対応に終始せざるを得なかったということだろう。

 純粋な外交面でいえば、来年はまず、1月に発足するバイデン米政権との協力が大きな課題になる。茂木外相はバイデン氏が大統領になれば、外交スタイルは変わるだろうが、米中対立の流れは続いていくと分析する。中国には「力による現状変更」の試みに断固として反対し、責任ある行動を促していくと話した。その成果を挙げるうえでも、米側との連携が前提になる。


ゲスト / Guest

  • 茂木敏充 / Toshimitsu Motegi

    日本 / Japan

    外務大臣 / Minister for Foreign Affairs

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