2020年10月13日 16:00 〜 17:00 10階ホール
水鳥真美・国連事務総長特別代表(防災担当)兼国連防災機関長 会見

会見メモ

水鳥真美・国連事務総長特別代表(防災担当)兼国連防災機関長がジュネーブからオンラインで会見し、気候変動問題と防災対策に関する国連の最近の取り組みなどについて話した。10月13日は国連総会が定める「国際防災の日」。

司会 村山知博 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

気候変動は「待ったなしの危機」/日本ブランド「防災」で貢献を

久慈 省平 (テレビ朝日報道資料部長)

 地震、津波、噴火、台風など様々な災害に見舞われる日本。日本が災害大国であり、同時に防災大国であることは言をまたないが、その日本は世界からどのように見られているのだろうか。災害を長く取材してきたにもかかわらず、恥ずかしながら意識したことはなかった。「国際防災の日」に会見した水鳥氏によると、世界を回って感じるのは「防災は日本ブランドの一つ」であり、「日本が国際社会で指導力を発揮することを世界は待ち望んでいる」ことだという。

 世界の地震の約1割が集中している日本は地質災害の対策は進んでいる。建築基準や宅地のかさ上げなどのハード面に加え、教育や啓蒙活動への取り組みは世界で評価されているという。一方、台風や豪雨で毎年のように犠牲者が出ていることは驚きをもって見られているという。

 水鳥氏によると、世界で過去20年間に起きた自然災害のうち、洪水、干ばつなど気候変動に関わるものは約9割に及び、途上国では生存問題に直結する。世界はいま新型コロナウイルス禍にあるが、「気候変動というもう一つの緊急事態下にあることを忘れてはならない」と強調し、これを克服しないと「世界に未曽有の影響を及ぼすことになる」と警鐘を鳴らす。しかし、残念ながら「コロナほどの切迫感がないのが現状」だという。気候変動は国境を閉じても効果はない。水鳥氏は「待ったなしの危機」と表現し、日本の早急な国際貢献を求めた。

 「災害ほど人々の生活に大きな爪痕を残し、発展を阻害する現象はない」。水鳥氏は日本の縦割り行政を見直し、省庁の壁を越えて政府全体の課題として防災政策を進めるべきと注文を付ける。さらに、市民団体やメディアからの声も反映すべきとする提言は新鮮だった。日本から世界を見据えた防災、われわれメディアにはどのような役割があるのか、考えるきっかけとしたい。


ゲスト / Guest

  • 水鳥真美 / Mami Mizutori

    国際連合 / The United Nations

    国連事務総長特別代表(防災担当)兼国連防災機関長 / UN Secretary-General's Special Representative for Disaster Risk Reduction / Head of United Nations Office for Disaster Risk Reduction (UNDRR)

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