2020年09月10日 10:30 〜 12:00 10階ホール
「米大統領選の行方」(6) 激動する米国と日米関係 秋元諭宏・笹川平和財団米国 会長兼理事長

会見メモ

米国在住の秋元諭宏氏に、大統領選を控えた現地の雰囲気や両党大会の総括、両候補の政策の違い、日本への影響などについて聞いた。2019年1月に笹川平和財団米国の理事長に就任し、同年10月から会長を兼務している。秋元氏は米国三菱商事会社上級副社長兼ワシントン事務所長、三菱商事株式会社理事・グローバル渉外部長などを歴任。

笹川平和財団米国

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

異例づくしの米大統領選

播摩 卓士 (企画委員 TBSテレビ解説・専門記者室長)

 民主・共和両党の党大会が終わり終盤戦へ、という時期にご登壇願ったのが、ワシントン在住の秋元諭宏さん。1988年から大統領選を見続けている秋元さんをしても「今回ほど異例づくしの大統領選はない」と言わしめるほど、何が起きるか分からない。トランプという現職候補の特異性に加え、コロナ禍、経済急停止、オンライン選挙、郵便投票の広範な実施と、確かに「異例」満載だ。

 選挙情勢について秋元さんは、激戦州の情勢などを基に、「バイデン優勢の中でトランプが挽回をはかり差が縮まってはいるが、逆転に向け弾みがついたとまでは言えない」と分析。また、郵便投票がすでに始まっていることも指摘、逆転へのハードルが上がっていることも示唆した。

 その郵便投票こそが最も読めないところ。トランプ氏によれば、約8000万人が郵便投票をする可能性があるということで、正確に郵便事業が機能するのか、いつ開封を始めるのか、いつの到着まで待つのかと、各地で規則が異なり、文句をつけようと思えばキリがないという。ミシガン州など前回僅差でトランプが勝った激戦州で、その結果を巡って次々に訴訟が起こされると、最終的には連邦最高裁が決着をつけるという可能性も十分あり得るとの見方を示した。

 投票所でのリアル投票は共和党が、郵便投票では民主党が優位との見方があり、リアルの開票でトランプが僅差で上回り勝利宣言するものの、その後の郵便投票の開票でバイデンが逆転するというケースになれば、トランプ大統領がすんなり負けを認めず、ホワイトハウスに居座る可能性だって否定できないという。

 長らく大手商社のワシントン事務所長を務められ、現地の方々とリアルな交流を続けている秋元さんの分析は客観的で説得力を持つものばかりだった。今後の選挙戦を左右するものは?との問いに、感染拡大を挙げつつ「候補者が感染することだってあり得ないわけじゃない」。10月2日、トランプ大統領の感染が明らかになった。確かに異例づくしの大統領選だ。

 


ゲスト / Guest

  • 秋元 諭宏 / Satohiro Akimoto

    笹川平和財団米国 会長兼理事長 / Chairman of the Board and President, Sasakawa Peace Foundation USA

研究テーマ:米大統領選の行方

研究会回数:6

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