2020年09月08日 16:00 〜 17:00 10階ホール
「新型コロナウイルス」(41) そのとき武漢は 杜若政彦イオン(湖北)総経理、南慎一郎イオンモール(湖北)総経理

会見メモ

 新型コロナウイルスにより、中国・武漢市は1月23日から77日間封鎖された。総合スーパーのイオンは、封鎖下でも営業を続け、市民の生活を支えた。今なお武漢に留まり続けているイオンの杜若政彦総経理(写真右)とイオンモールの南慎一郎総経理がオンラインで登壇し、封鎖期間中の店舗や従業員の様子、市民の生活ぶりについて、映像を交え話した。

司会 藤賀三雄 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)


会見リポート

武漢に残り市民生活支える

工藤 哲 (毎日新聞上海支局長)

 新型コロナウイルスの最初の感染爆発が起きた中国湖北省武漢市は、1月23日から約2カ月半にわたり都市封鎖された。日本人がチャーター機などで帰国する中、武漢にとどまり市民生活を支え続けた駐在員がいる。イオンの現地の総経理(社長)を務める南慎一郎さん(46 )と杜若政彦さん(51)がオンラインで当時の状況を振り返った。

 漢口駅に近い海鮮市場で多くの人が肺炎に感染したという情報が入り始めたのは昨年12月31日。一部の商品をここから仕入れていたが、商品を除き、従業員の検温やマスク、手袋の着用を徹底した。

 情報不足のまま都市封鎖が始まった。食品などを求め客足が急増。従業員も不安を抱える中、手探りの取り組みが始まった。

 そんな中、困難を乗り切るには従業員との信頼関係が不可欠だった。SNSで従業員にこんなメッセージを発した。「毎日営業を続けます。従業員の安全と生活を第一に考えます。武漢の人と一緒に困難な状況に立ち向かいましょう。ぜひ力を貸してください」

 従業員らの現場からのアイデアをもとに、店内で距離を置く工夫や、セット販売にするなど効率よく顧客に商品を届ける方法を考え出した。2月以降は都市封鎖がさらに強化されて商品が減る中、中国国内のイオングループの連携で商品を調達。特別に当局から許可を得て検問を通り抜け、不足しがちな生鮮食品や麺、小麦粉を市民に届け続けた。

 混乱の中、強さを発揮したのがキャッシュレスの普及だ。既に約7割が利用していたが、人員や業務の効率化に役立った。

 感染リスクもあった中で業務に携わった困難は想像するに余りある。「一緒に仕事をする仲間を見捨てることはできず、残ることにした」。こうした言葉から、武漢の日系企業の存在感や確かな使命感が伝わってきた。


ゲスト / Guest

  • 杜若 政彦

    日本 / Japan

    イオン(湖北)総経理

  • 南 慎一郎

    日本 / Japan

    イオンモール(湖北)総経理

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:41

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