2020年08月21日 15:30 〜 16:30 10階ホール
衛藤晟一・内閣府特命担当大臣(少子化対策) 会見

会見メモ

「少子化社会対策大綱」が5月、閣議決定された。約5年ぶりの見直しとなった同大綱では「希望出生率1.8」の実現に向けた環境整備など、今後5年間の指針が示された。担当の衛藤晟一大臣が登壇し、具体的な政策や財源の確保にどのように取り組むのかなどについて話した。

司会 猪熊律子 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

 


会見リポート

少子化対策、平成が残した宿題/多子世帯へ児童手当の拡充を

吉田 ありさ (日本経済新聞社編集委員)

 2019年の出生数は86・5万人と過去最少を更新した。合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子供の数)は1・36と、12年ぶりの低水準。長引く少子化問題にどう取り組むのか。昨年9月に初入閣した衛藤晟一・少子化担当相が語った。

 現在の少子化の起点は89年の出生率が過去最低を更新した「1・57ショック」にさかのぼる。衛藤氏は平成6(1994)年から3期連続で自民党社会部会長として介護保険などの社会保障政策に携わった経験を振り返り「高齢化にどう取り組むかが平成の時代の最優先課題になってしまった」と総括。高齢化対応と比べ少子化対策は給付が十分でなかったことが現状を招いたと「虚心坦懐に受け止めなければならない」と述べ、少子化対策は平成の時代が残した宿題と位置付けた。

 今後については5月29日に閣議決定した少子化社会対策大綱を解説し、希望出生率1・8と現実のギャップを埋めることが政府の仕事と強調。具体策として不妊治療への支援拡充などのほか、持論である多子世帯向け児童手当の大幅拡充を提唱した。

 現在1人当たり月1万~1万5000円の児童手当は「第2子からは月3万円、第3子以降は月6万円給付するぐらいの大胆な経済的支援策があってもよい」と力説。育児休業給付金は取得前賃金の67%から80%まで上げるべきだと強調。「全部合わせると3・5兆円ぐらいかかる」と財政支出の拡大が必要と述べた。

 財源については金融資産、固定資産、相続税など資産課税の強化を例示した。質疑で出た「欧州より低い消費税を上げるべきではないか」との意見には、理論的にそうでも現実としては難しいと説明し、「もっと確実で頑張ってやれることをやった方がよい」と幅広く検討を進めていく考えを示した。

 


ゲスト / Guest

  • 衛藤晟一 / Eto Seiichi

    日本 / Japan

    内閣府特命担当大臣(少子化対策) / Minister of State for Measures for Declining Birthrate

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