2020年08月06日 14:00 〜 15:00 10階ホール
「新型コロナウイルス」(38) 自治体の奮闘④ 広瀬慶輔・寝屋川市長

会見メモ

大阪府の中核市・寝屋川市では、小中学校の児童・生徒が登校かオンラインかを各家庭の希望で選ぶ「選択登校制」を導入した。8月17日からは長期にわたり不登校、入院をしている児童・生徒にも広げる予定としている。

広瀬慶輔市長が登壇し、選択登校制の導入の経緯や感染が再拡大する中での今後の対策、市が注力する「いじめゼロ」に向けた取り組みについて話した。

司会 磯崎由美 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

市独自で「選択登校制」を導入

田中 雄一郎 (朝日新聞社論説副主幹)

 とかく自治体は国のルールにしばられる。教育行政もしかりだが、その気になれば、新たな投資や負担を避けつつもやりようはある。1時間余りの冒頭発言と質疑を聞きながら、改めてそんなことを考えた。

 大阪、京都両市の中間にあるベッドタウン、人口23万人の大阪府寝屋川市は6月から、小中学校を対象に「選択登校制」と「授業のライブ配信」を始めた。

 市内では、新型コロナの感染者は4月末を最後に確認されていなかった。しかし基礎疾患がある児童生徒など、感染への不安から登校をためらう家庭がある。学級・学校の休業が広がる事態への備えも怠れない。対策として選択登校制を考え、家庭での学習を選んだ子どもに学びの機会を保障するため授業のライブ配信を用意した。

 使ったのは手持ちの機器や無償のオンライン会議用ソフト。撮影用の端末は児童生徒のプライバシーへの配慮から教壇の近くに固定し、先生の言動を中心に家庭へ流す「一方通行型」とした。ライブ配信の対象に不登校や長期入院の子どもを加えることを視野に入れていたことに加え、先生が授業のスタイルを変えずに済むよう配慮した結果、双方向型は見送った。

 不登校・長期入院の子どもは、8月中旬からライブ配信の授業を視聴し始めた。広瀬市長は「本来、対応していなければいけなかった。コロナ問題で気づかされた」と反省の弁を述べる一方、国のルールとの調整については「教育委員会や文科省とはいろいろ話をしながら進めてきた」と語るにとどめた。

 学校での対面が授業の基本……。少しずつ変わってきたとはいえ、文科省が掲げるこの「主義」は、まだまだ固いだろう。現状への見解をもっと聞きたかったが、自説を声高に唱えるより実務に徹するのがスタイルか。今後の挑戦と国の変化の有無を注視していきたい。

 


ゲスト / Guest

  • 広瀬慶輔 / Keisuke Hirose

    日本 / Japan

    大阪府寝屋川市長 / Mayor of Neyagawa City

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:38

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