2020年07月06日 13:00 〜 14:00 10階ホール
「新型コロナウイルス」(34) 生活支援施策のあり方 藤田孝典・NPO法人ほっとプラス代表理事

会見メモ

NPO法人ほっとプラスはさいたま市を拠点に、生活困窮者に対し、相談や福祉サービス利用の支援、シェルターの提供などを行っている。藤田孝典代表理事が登壇し、コロナ禍による生活困窮の実態と支援のあり方について話した。

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)

 

※動画の映像が数分おきに停止しますが、音声には支障ありません。ご了承ください。

 


会見リポート

幅広い層から電話相談/生活保護の受給要件緩和を

山崎 貴史 (読売新聞社社会保障部長)

 藤田氏は18年間にわたり、生活に困窮する人々らの電話相談に応じてきた。新型コロナウイルスの感染拡大後は、NPOや労働組合の関係者、研究者、弁護士、司法書士らと共に「生存のためのコロナ対策ネットワーク」を設立し、共同代表を務めている。

 コロナ禍に伴う電話相談は幅広い層から寄せられ、まさに「前代未聞」だという。

 例えば2008年のリーマン・ショックの際は、製造業の非正規社員からが中心だった。

 今回は、正社員・非正規社員といった雇用形態や性別、年齢に関係なく多くの人々が窮地に立たされている。コロナ禍が及ぼす影響の深刻さが伝わってくる。

 相談の内容から浮かび上がったのは、事業主が雇用調整助成金を申請しないため、休業を命じられた従業員が休業手当を受給できないケースが多い実態だ。

 コロナ対策ネットワークは、政府にさまざまな政策を提言した。休業手当制度の改善も盛り込んだ。

 政府は20年度第2次補正予算に合わせ、休業手当をもらえない労働者が、自ら申請できる給付金を創設した。画期的な政策転換だ。

 社会政策の改善を求める関係者が集結して提言し、メディアが世論を喚起した成果でもある。こうした好循環の継続を期待したい。

 藤田氏は「今後、雇用保険の受給期間が切れる労働者が爆発的に増え、生活保護になだれ込んでいく」と予想する。日本の生活保護は審査が厳格で、受給のハードルが高いとされる。「欧州諸国のように生活費の一部を支給可能にするなど、生活保護の受給要件の緩和が欠かせない」と藤田氏は訴えた。

 コロナ禍は、日本社会のセーフティーネットを巡るさまざまな課題を顕在化させた。それを実感する会見だった。


ゲスト / Guest

  • 藤田孝典 / Takanori Fujita

    日本 / Japan

    NPO法人ほっとプラス代表理事 / Representative Director, NPO corporation “Hot Plus”

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:34

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