2020年05月15日 14:00 〜 15:00 オンライン開催
「新型コロナウイルス」(18) 企業活動への影響 赤間裕弥・帝国データバンク東京支社情報部部長

会見メモ

帝国データバンクの赤間裕弥・東京支社情報部部長が登壇し、新型コロナウイルスの企業活動への影響について、最新の調査結果をもとに分析した。

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)

 

投影資料

帝国データバンク

「新型コロナウイルス感染症」上場企業の影響・対応動向調査(~4月17日)

新型コロナウイルス関連倒産


会見リポート

7年ぶりに年間倒産1万超か

西條 都夫 (日本経済新聞社上級論説委員兼編集委員)

 赤間氏の会見があったのは39県で「緊急事態宣言」が解除され、東京などでも新規感染者数が目に見えて減ってきたタイミングだったが、話を聴くうちに「経済の難局はむしろこれからかもしれない」と身の引き締まる気持ちになった。

 リーマンショックではトヨタ自動車はじめグローバル製造業が甚大な影響を受けたが、今のコロナ危機で痛みが大きいのは街の飲食店やスポーツジム、各地の旅館などそれほど規模の大きくない企業だ。赤間氏によると「仮に売り上げがゼロになると、日本の中小企業の手元資金は平均2カ月で底をつき、資金ショートに至る」という。「宣言」が解除された地域でも、人々の行動変容は持続し、例えば居酒屋やホテルの大ホールにかつてのにぎわいが戻るとは考えにくい。

 それを踏まえると、公的緊急融資や家賃減免、あるいは地域経済を支えようという金融機関の奮闘があったとしても、「倒産は増勢をたどり、今年の倒産件数は7年ぶりに1万件ラインになるだろう」という赤間氏の予測には説得力があった。コロナ関連の倒産は既に150件を超えた。キャンセルの相次いだ結婚式場や得意先の中国メーカーが操業を停止し、出荷の止まった資材メーカー、球場やスタジアム内の飲食店など破綻企業の業種は多岐にわたる。感染の第2波が到来すれば、企業破綻のオーバーシュートが起こるかもしれないという恐ろしさを感じた。

 未曽有の危機にどう対処すればいいのか。コロナ禍は天災のようなもので、経営に落ち度がないのに、資金繰り難から破綻してしまうような企業は公的支援などで支える必要がある。一方でコロナ前とコロナ後で需要の水位が構造的に減ってしまう業態はむしろ早めに構造調整を促すのが、マクロ、ミクロの両面で利点が大きいだろう。赤間氏の会見から浮かび上がったのは、今後の経済政策のかじ取りの難しさである。


ゲスト / Guest

  • 赤間裕弥

    帝国データバンク東京支社情報部部長

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:18

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