2020年04月23日 13:00 〜 14:30 オンライン開催
「新型コロナウイルス」(11) 新型コロナウイルス感染症に関する専門家有志の会

会見メモ

政府の専門家会議や厚労省クラスター対策班の関係者らが4月5日、感染拡大防止のための「行動変容」の浸透をめざし、「新型コロナウイルス感染症に関する専門家有志の会」を発足させた。同会では公式サイトとツイッターを通じて、専門家が直接、わかりやすい情報を発信し、その情報の拡散を人々に呼びかけている。「有志の会」の一員で、政府専門家会議メンバーである武藤香織・東京大学医科学研究所教授と、同会の広報を統括する仁木崇嗣・一般社団法人ユースデモクラシー推進機構代表理事が、同会発足の経緯やこれまでの反響などについて話した。

司会 磯崎由美 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)

 

「新型コロナウイルス感染症に関する専門家有志の会」

公式サイト

公式Twitter

有志の会メンバー尾身茂・地域医療機能推進機構理事長のメッセージ

 

※この会見の動画は公開いたしません。


会見リポート

「秒で理解、秒で拡散」目指す

堀家 春野 (NHK解説委員)

 政府の専門家会議のメンバーでもある武藤香織さん(右)は会見で、これまでの専門家会議の活動に触れ、「半歩先、一歩先の提案をしたかった」と話す。2月24日の専門家会議の見解には「これから1〜2週間が瀬戸際」と盛り込み、行動変容を呼びかけた。

 武藤さんは、これは大きな賭けで、自分たちの言葉を信じてもらえるのか不安の中、手探りで発信したと当時の心境を語った。

 目の前の事象に一喜一憂するのではなく、いまの行動を変えることで状況はどう変わるのか。多くの人が最も知りたいことについての提案を今後も続けていくという強い決意を感じた。

 今回の専門家会議は、政府の事務局案にいわばお墨付きを与えるようなものではなく、データに基づき自らの言葉で発信する会議だ。さらに専門家会議のメンバーを中心に専門家有志の会を立ち上げnote(ノート)やツイッターで分かりやすい情報の発信を目指している。

 目指すのは「秒で理解、秒で拡散」だという。この中には現在進められている治験についての記述もあり、治療薬がない中で過剰な期待が高まりデータの解釈が甘くなる懸念や、報道に一喜一憂せず冷静に見守ることの大切さも記され、既存の報道への警鐘も鳴らしている。

 有志の会の運営に携わる仁木崇嗣さん(左)は、秒で理解してもらうことの難しさと全世代に情報を届けるには課題があること。そして、専門家による無料奉仕である「プロボノ」で支えられる運営には限界があるものの、特定の企業などからの財政支援がないためフラットな運営ができるメリットを指摘した。

 これだけ専門家が広く発信することはこれまでに例がないことだと思う。専門家会議も有志の会も目的は多くの人の行動変容につなげること。データに基づく科学的な発信を読み解き、検証することが私たちに求められている。


ゲスト / Guest

  • 武藤香織 / Kaori Muto

    東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授 / Professor, Institute of Medical Science, University of Tokyo

  • 仁木崇嗣 / Takatsugu Niki

    一般社団法人ユースデモクラシー推進機構代表理事 / chief executive officer, YDPA(Youth Democracy Promotion Agency)

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:11

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