2020年04月22日 11:00 〜 12:00 オンライン開催
「新型コロナウイルス」(10) 福井トシ子・日本看護協会会長

会見メモ

 日本看護協会の福井トシ子会長が、最前線で感染者を支える看護職の現状や医療崩壊を防ぐための求められる支援策などについて話した。

司会 猪熊律子 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

日本看護協会

配布資料


会見リポート

「最大の応援は感染しないこと」

鈴木 穣 (東京新聞論説委員)

 看護職をはじめ医療従事者は三つの困難と闘っている、と福井氏は強調した。

 まずウイルスによる「疾病」、次に治療法がないことからくる「不安や恐れ」、最後に不安や恐怖が生み出す社会の「嫌悪・差別・偏見」である。

 感染症患者の医療現場では、通常より必要な看護職が増える。具体的な数字を示した。40床の一般病床だと通常20~29人だが、感染症対応だと39~48人になる。倍近い人材が対応に追われる。

 看護職は医療従事者の半数以上の約160万人いるが、不足している状況を訴えた。

 「不安や恐れ」から、看護職のメンタルケアにも注意する必要があると言う。直接、患者と接する機会が多い看護職の精神的負担は大きい。

 自らや家族への感染リスクも不安を強める。だが、休めない。

 「帰宅せず車中やホテルで寝泊まりする人もいる」と言う。

 医療現場では防護具不足の中、無症状の人からの感染不安は大きい。医療崩壊をさせないためにも院内感染は防がねばならない。

 支援策として「無症状患者と希望する医療従事者への検査拡充、防護具の確保、危険手当など経済支援の実現を」と提言した。

 三つ目の困難である医療従事者やその家族への差別・偏見について「子どもの保育園への登園自粛の要請、タクシーの乗車拒否の他、なじみの定食店から看護職は来店しないでほしいと言われた事例も。これはつらくないですか」と明かし、「医療従事者の生活が脅かされることで医療崩壊につながる恐れがある」と指摘した。

 「医療従事者をどう応援したらいいか」との質問に「『ありがとう』のひと言が嬉しいし特別な配慮はいらない」と話し、その上で「私たちへの最大のエールは皆さんが感染しないこと」と締めくくった。


ゲスト / Guest

  • 福井トシ子 / Toshiko Fukui

    日本 / Japan

    日本看護協会会長 / Chairman,Japanese Nursing Association

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:10

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