2020年04月03日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「新型コロナウイルス」(7) 飯島渉・青山学院大学教授

会見メモ

飯島渉・青山学院大学教授が20世紀以降の中国における感染症の流行と公衆衛生改善の取り組みや、疫病史観から見た新型コロナウイルスについて話した。

飯島教授は感染症の歴史が専門で『感染症の中国史 公衆衛生と東アジア』(中公新書2009年)『マラリアと帝国―植民地医学と東アジアの広域秩序』(東京大学出版会2005年)などの著書がある。

感染症アーカイブス

司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

中国の感染症史を概観/「1万年を30年間」が背景

田村 良彦 (読売新聞メディア局専門委員・ヨミドクター編集部)

 「私がごく普通の歴史学、特に中国史研究の課題とはかけ離れたテーマを追いかけるようになって……」。会見に先立って読んだ飯島氏の著書『感染症の中国史』の後書きにはこう記されている。感染症の歴史学を専門とする飯島氏の会見は、19世紀末から約100年間にわたる中国の感染症の歴史を概観したもので、聞く側にとっては初めて耳にするユニークな視点にあふれた。

 なぜ中国でSARS(重症急性呼吸器症候群)や今回の新型コロナウイルスのような感染症が起きたのか。人類の1万年の歴史を振り返ると、感染症は動物の家畜化などによる生態系への介入に対するレスポンスなのだという。急速な都市化と人口集中が進む中国。人類の1万年の歴史を、この30年間ほどで体験していることが背景にあるという。

 感染症対策は、歴史的にみて統治と強く結びついている、統治そのものであるという印象も強く持った。疫病の流行を治めることは、国を治めることだと考えれば、現在の新型コロナウイルスに対する世界各国の強権発動も理解できる。

 だが、権力による統制は、個人の自由の問題と相反する。今回の新型コロナウイルス問題について飯島氏は、歴史学者として現在起きていることについて語ることには「禁欲的でありたい」と断りつつ、「あえて踏み込んで」、ICT(情報通信技術)による個人管理の問題に言及した。スマホの位置情報などを活用して感染者の管理などを図ろうというもので、日本でも導入が進められようとしている。

 2003年のSARSをきっかけに空港などに導入されたサーモグラフィー。今では当たり前の光景になった。スマホによる個人管理もこれから標準的な感染対策になってしまうのか。飯島氏は結論的なことは述べず「禁欲的な」態度で話を終えたが、メディア側に重要な課題を投げ掛けられのだと受け止めた。


ゲスト / Guest

  • 飯島渉 / Wataru Iijima

    日本 / Japan

    青山学院大学教授 / professor, Aoyama Gakuin University

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:7

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