2020年02月26日 14:00 〜 15:00 10階ホール
川邊健太郎・ヤフー社長 会見

会見メモ

「Yahoo! JAPAN」などの事業を展開するZホールディングスの川邊社長が「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニーへ」をテーマに会見した。同社とLINEは昨年末、経営統合することで最終契約を締結、米国、中国に次ぐ第3極を目指す考えを示している。

 

司会 竹田忠委員 日本記者クラブ企画委員(NHK)

 

※ゲストの希望によりYou Tubeでの動画公開はしておりません。


会見リポート

米中に次ぐ「第三極」目指す

早田 栄介 (共同通信社経済部)

 昨年11月にLINEとの経営統合を発表したZホールディングス(ZHD)。国内IT企業では勝ち組とされる両社がなぜ手を組むのか。GAFAと呼ばれる米国の巨大テック企業への危機感と、それらに対抗する戦略のあらましを語った。

 まずは、日本でのITサービスの利用状況に関する調査結果を紹介。国内勢でトップ10に入ったのはヤフー、LINE、楽天の3社で、残りは米国勢が占めた。「この5年で急速にこうなった」と危機感を示した。

 そして将来の競争力を決めるのは研究開発費だと指摘。ZHDとLINEを合計しても、兆円単位のGAFAより2桁、アリババやテンセントなど中国勢より1桁少なく、「ここが最も深い問題」と強調した。GAFAは医療や自動運転など様々な先進領域に侵攻しており「数年後には、(日本の)ほぼ全ての社長が眠れなくなる」と予想した。

 ではZHDとLINEは、どうやって米中の巨大企業に次ぐ「第三極」を築くのか。川邊氏が戦略の柱としたのが、日本の課題に対応するサービスとデータの活用だ。労働力不足と頻発する自然災害を具体的な課題とし、ITの活用で生産性を上げたり、効果的な避難情報の提供が可能になったりすると説明。グローバル企業が苦手とする、「各国の事情にカスタマイズされたサービス」で支持を広げると話した。

 こうした課題は中国や東南アジアにも共通するとし、「日本を固めて投資余力をつくり、東アジア全域に通じるサービスをつくる」と展望した。その際、当事者でも気づきにくい問題やニーズを掘り起こすため、データの活用が鍵になると話した。

 恒例の揮ごうで記した言葉は「自由自在」。テクノロジーの本質は「人類をより自由にするもの」と説明。規制によって海外勢を締め出すのではなく、ユーザーに支持された結果として勝ち残りたいと締めくくった。


ゲスト / Guest

  • 川邊健太郎 / Kentaro Kawabe

    ヤフー株式会社代表取締役社長 / President & CEO, Yahoo Japan Corporation

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