2019年12月24日 16:00 〜 17:00 10階ホール
「<表現の不自由展・その後>のその後」(5) 大村秀章・愛知県知事

会見メモ

大村秀章知事が登壇し、あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」の展示中止・再開問題をめぐる、この間の経緯やその後の議論を踏まえた自身の見解について語った。

 

司会 川上高志 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

「カネを出しても口は出さない」/公式サイトで「検閲」疑念も

酒井 充 (産経新聞社政治部次長)

 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会会長を務めた大村秀章愛知県知事が、思いの丈を述べた。不自由展は脅迫を含む批判が殺到し、一時中止に追い込まれた。「なんとしても75日間の会期を無事に終えることに心を砕いた」との訴えには当事者の苦悩がにじみ出ていた。

 大村氏は「カネを出しても口は出さない」と強調し、憲法21条が保障する表現の自由への強い思いが伝わった。「違う意見を認めず、事実でないことも書き連ね、相手をおとしめて自分の立場を確保することがまかり通る社会に驚きを持っている」として、多様性を重視した「分厚い市民社会」の確立に意欲を示した。

 実行委会長代行だった河村たかし名古屋市長が展示内容を批判したことには「市長も主催者なのに、私に一言も言わずにマスコミを引き連れ『内容がけしからんから、やめろ』と言われた。憲法違反そのものではないか」と反論、批判した。

 表現の自由について「よほどのことでない限り制限できない」と明言した大村氏。一方で、中止期間中に元慰安婦がモデルの「平和の少女像」について芸術監督に「やめてくれないか」と伝えたことを認めた。再開した場合の影響を危惧した「強い要望」だったというが、人によってはこれを「検閲」と受け止める。それも多様性の一つだ。

 会見終盤では、同祭の公式サイトの取材に関する注意事項で「必ず校正段階で」記事などの提出を求めていたことについて「承知していない」と述べた。「検閲ではないか」との質問に「実際、そうはなっていませんよね」と答えたが、実態の問題ではない。記載自体が「検閲」に等しい。

 事実誤認があると大村氏が激しい言葉で批判した河村氏にも言い分はある。二人が公開討論でもすれば、まさに多様性の象徴となるが、その気配はない。矛盾を感じざるを得ない歯切れの悪い終わり方だった。


ゲスト / Guest

  • 大村秀章 / Hideaki Ohmura

    日本 / Japan

    愛知県知事 / Governor, Aichi Prefecture

研究テーマ:<表現の不自由展・その後>のその後

研究会回数:5

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