2020年01月08日 13:30 〜 14:30 10階ホール
片岡真実・森美術館館長 会見

会見メモ

2020年1月1日付で森美術館3代目館長に就任した片岡真実さんが世界の現代アートシーンと日本の現状や課題、就任にあたっての抱負を語った。

 

片岡さんは2003年の森美術館開館時からキュレーターとして活躍。18年に副館長になった。

片岡さんが企画した「塩田千春展:魂がふるえる」(19年6~10月)には66万人超が来場、同館歴代2位を記録した。

海外では18年のシドニー・ビエンナーレでアジア人初の芸術監督を務めたほか、非ヨーロッパ圏として初めてCIMAM(国際美術館会議)会長に就任した。

 

司会 小川記代子 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)

 

 


会見リポート

現代アートは「世界の縮図」/日本の存在は希薄

小川 記代子 (企画委員 産経新聞社編集局ウェブ編集長兼副編集長)

 村上隆、奈良美智…。アートに詳しくなくても、作品の高額さを含めて彼らの活躍は知っている。だから日本のアートはいい線なのかと思っていた。ところが、昨年66万人を集めた「塩田千春展」など数々の人気展を手がけた名キュレーターは「香港やシンガポールでは近現代美術館やビエンナーレ、アートフェアが盛んだ。日本の存在感は相対的に希薄になっている」と断じる。

 

 1月1日から森美術館の館長に就任、国際美術館会議(CIMAM)の会長にも非ヨーロッパ圏から初めて選ばれた国際派。だから、世界における日本の現状も客観的に認識している。会見には美術担当記者も多く集まり、終了後も囲まれていた。

 

 マルセル・デュシャンが男性の小便器をアートとして発表した衝撃作「泉」から100年以上たっても、日本では「アートは美しい、が突破されない」と言う。

 

 現代アートとは政治、社会、経済、文化などの背景を踏まえて理解される「世界の縮図」。意味を考えさせるものであり、美しいだけではない、というのだ。

 

 さらに、現代アートの市場規模は数兆円となっている。もはや芸術のみならず国際経済の分野だ。国は、遅ればせながら2014年度に初めて現代アートに対して文化庁予算を計上したという。今後、片岡氏は日本現代アート委員会座長として国際的な情報発信などに努めていく。

 

 色紙には「八不中道」と書いた。インド高僧の言葉で、とらわれないモノの見方をいう。極論が跋扈する世界を見据えたのだろう、「是とされてきたことが見直される時代。俯瞰し、立ち位置を探りたい」と説明した。

 

 会見では答えづらい質問にもユーモアを交え、柔らかく受け答えする様子が印象的だった。この柔軟性とバランス感覚は、世界に日本をアピールする上で大きな武器になる。

 


ゲスト / Guest

  • 片岡真実 / Mami Kataoka

    日本 / Japan

    森美術館館長 / Director, Art Museum

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