2019年08月06日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「米中争覇」(2) 米国の対中技術覇権競争 森聡・法政大学教授

会見メモ

現代アメリカの外交・国防政策、国際政治学を専門とする森聡・法政大学教授が米国の対中姿勢の転換、対中戦略をめぐるトランプとワシントンの議論などについて語った。

森教授は、1996年から2001年まで外務省で勤務したのち、2002年に東京大学大学院に入学し研究者の道へ。2010年から現職。

著書に『ヴェトナム戦争と同盟外交』(東京大学出版会2009年)、共著に『アメリカ太平洋軍の研究 ― インド・太平洋の安全保障』(土屋大洋編 千倉書房 2018年)『現代日本の地政学 - 13のリスクと地経学の時代』(日本再建イニシアティブ編 中公新書 2017年)など。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

 

森教授によるレジュメ

法政大学教員紹介ページ

 


会見リポート

激化する米中技術覇権/気になる日本の出遅れ

矢田 俊彦 (読売新聞社経済部長)

 米国が中国を「為替操作国」に認定し、米中対立の舞台が関税引き上げから通貨にまで広がった直後の会見となった。それだけに米中の歯止めなき応酬の発火点である米中技術覇権争いへの関心はいつにも増して高かった。

 森教授は、21世紀の覇権をかけた米中の大国間競争は、AI(人工知能)やデジタル技術など第4次産業革命の進行と同時並行で展開されたことで、技術が中心になったと分析する。

 トランプ政権は、オバマ政権の協調路線から競争路線に舵を切った。米中関係は、1970年代の接近以降、緊張と緩和のサイクルを繰り返してきたが、今回は従来のサイクルで終わらない可能性がある。次世代の産業力を構築する競争だからだ。言い換えれば、国家資本主義(中国)VS市場資本主義(米国)でもある。

 米国は、民間企業による市場競争を基本としており、中国政府の補助金による企業支援は不公正にうつる。技術の強制移転や知財を盗むことで、研究開発費のかからない製品を安く販売、輸出していることは看過できない。そこで儲けた金で軍事を増強させているとならばなおさらだ。一方、中国は、補助金政策は国家の体制問題に結びつくだけに習近平(シー・ジンピン)氏も簡単には受け入れがたい。摩擦はチキンレースの様相だ。

 ただ、米国も軍事技術や情報技術など重要技術の開発については、「All USA」で事実上の戦略産業化をし始めているという。米中の覇権争いの狭間で、日本が先端技術で遅れを取ってしまうのではないかと、心配になる。

 気になる今後の展望だが、森教授は、来年の米大統領選の動向がカギを握り、「部分的ディール」が成り立つこともあり得るとの見方を示す。ただ、トランプ大統領が選挙目当ての安易な妥協をしたら、ナバロ米大統領補佐官やライトハイザーUSTR代表ら強硬派と政権内で軋轢が生じる可能性もある。


ゲスト / Guest

  • 森聡 / Satoru Mori

    日本 / Japan

    法政大学法学部教授 / professor, Hosei University

研究テーマ:米中争覇

研究会回数:2

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