2019年08月08日 15:30 〜 17:00 9階会見場
「米中争覇」(3)中国経済と米中関係の行方 津上俊哉・現代中国研究家

会見メモ

 通産官僚出身で在中国日本大使館勤務の経験もある津上俊哉氏が登壇。中国経済の実態とその背景、米国のファーウェイ排除方針の行方などについて語った。

 同氏は2004年に退職して中国企業を投資対象とするベンチャーキャピタルを立ち上げ、2012年から「津上工作室」を運営。

初の著書『中国台頭 ― 日本は何をなすべきか』(2003年 日本経済新聞社)で2003年サントリー学芸賞政治・経済部門を受賞。近著は『「米中経済戦争」の内実を読み解く』(2017年 PHP研究所)

 

司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)

津上工作室

 


会見リポート

5G巡り米陣営孤立も/対中国関与政策は失敗ではない

太安 淳一 (共同通信社外信部担当部長)

 津上さんのお話で特に印象に残ったのは①米国のファーウェイ排除作戦は敗色濃厚②対中国関与政策は失敗ではなかったーの2点だ。

 ①は、5G移動通信システムを巡る米国のファーウェイ排除要請に同意しない国が多く、「ファイブアイズ」(米英など機密情報共有協定を結ぶ5カ国)と日本の米陣営6カ国は孤立し、敗れるという予測だ。途上国だけでなく、欧州でも米国の要請に同意しない国が多くなっているという。津上さんの会見の翌日、ファーウェイは、米グーグルの基本ソフト(OS)アンドロイドに替わるOSを正式発表した。津上さんの予測通りに事態が進行していきそうだ。

 ②は、中国を封じ込めるのではなく関与政策により国際社会に取り込むことで、中国は経済発展し中産階級が育ち民主化していくという国際社会の期待についての分析。最近の通説は、こうした期待が間違っていたということだが、津上さんの見方は違う。津上さんの仮説によると、中国は右派(改革・開放志向で国際協調的)と左派(公有制重視で国粋主義的)の間を振り子のように揺れ動いている。右へ動いている時期は関与政策が機能するという。左右への動きを進める要因は国家財政だ。

 1990年代は国有企業がダメになり、中央財政が厳しくなった。経済成長は民営企業と外資頼みとなり、右への動きが進んだ。この時期は関与政策が成功し、中国の世界貿易機関(WTO)加盟につながった。逆にWTO加盟以降は、世界中の企業が中国に殺到し、財政収入が戻ってきたため左に振れてきたという。

 今後はどうなのか? 津上さんによると、中国経済は債務膨張などの三重苦に直面しており、楽観できない。長期的に見て大変な重荷を抱えていると見る津上さんは、10年もたたずに中国国家財政がにっちもさっちもいかなくなり、右に振れ戻す可能性があると予測した。


ゲスト / Guest

  • 津上俊哉 / Toshiya Tsugami

    日本 / Japan

    現代中国研究家、国際問題研究所客員研究員 / President of Tsugami Workshop

研究テーマ:米中争覇

研究会回数:2

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