会見リポート
2019年08月30日
17:45 〜 18:45
10階ホール
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官 会見
会見メモ
第7回アフリカ開発会議(TICAD7 8月28~30日)出席のために来日中のフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官が、同会議終了後に会見し、会議の成果やUNHCRの活動の現状などについて話した。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
通訳 賀来華子
会見リポート
「難民は犯罪者ではない」/日本に難民認定改善を期待
牧野 記久 (共同通信社特別報道室)
シリア、南スーダン、アフガニスタンなど、世界の難民や国内避難民らが、過去最多の7千万人を超えた現状への理解を促し、日本の支援や難民認定手続きの改善も求めた。
先進国の中で難民認定基準が厳しい日本の現状を憂慮した。4月に入国管理局が格上げされ、出入国在留管理庁が発足したことを機に、難民申請手続きなどでの前進を期待する。
会見では言葉を慎重に選び穏やかに発言していた印象だった。しかし、日本で長期収容されている難民申請者の処遇問題には、プロセスを加速化するよう語気を強めた。
難民申請は「犯罪ではない」、申請者らの処遇を容疑者のように扱うべきではない。「収容は最終手段にとどめるべきだ」
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、日本の支援は、かつて世界第2の拠出額だったものの、2018年は5位に。19年分は、昨年をすでに超える伸びを示しているという。しかし、難民らは増加している中で、高等弁務官は日本政府に謝意を示しながらも「まだ余地がある」と、さらなる理解を促した。
横浜市での第7回アフリカ開発会議(TICAD)の閉会後、記者会見に臨んだ。54カ国が参加し、過去最多となる42カ国の首脳級が出席した会議は、難民らが多数居住するアフリカのトップらへの働きかけの場として好機だったと評した。
来日で河野太郎外相らと会談し、多数の難民らを受け入れている国に向けた支援の必要性も訴えたとも述べた。
また日本が近隣諸国に滞在する難民を「第三国定住制度」で受け入れる人数を年間約60人に増やすことを評価。ロヒンギャ難民のミャンマーへの帰還問題に関するミャンマー政府との交渉状況についても説明した。
最終的に難民の帰還には、安全な環境を保障する「信頼」の構築が必要だと強調した。
ゲスト / Guest
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フィリッポ・グランディ / Filippo Grandi
国連難民高等弁務官 / United Nations High Commissioner for Refugees