2019年07月22日 15:00 〜 16:30 10階ホール
「米中争覇」(1)朱建栄・東洋学園大学教授

会見メモ

「米中争覇」シリーズ初回のゲストとして朱建栄教授が登壇。米中貿易交渉における中国の戦略や展望を語った。

 

司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)

 


会見リポート

米国、「6割法則」で対中攻勢/中国、我慢比べの持久戦に

杉田 弘毅 (企画委員 共同通信社特別編集委員)

 米国と中国は決定的な対立に陥る。その予想を我々はかなり前から持っていた。しかし核時代に戦争はできないのだからうまく共存してくれるはず、G2という手もあるし。そんな願いで不吉なシナリオを頭の中から追い払ってきた、というのが大方ではないか。対立の前線にさらされる日本がいや応なしに決断を迫られる厄介な事態も、米中対立を考えたくない原因の一つだろう。

 だが、「米国第一」を掲げ、その覇権を脅かす国の出現を何としても許さないトランプ大統領と、「中国の夢」を打ち出して陸海で大国戦略を進める習近平主席のビジョンはぶつかる宿命にある。貿易協議がいつも行き詰まるのも、貿易を支える産業経済政策に始まり、情報通信や軍事など双方が根本で全面的な競争関係にあるからだ。将来の歴史家は今の時代を転換点と見るだろう。

 米中対立をテーマとしたシリーズ企画「米中争覇」が始まった。最初の講師は朱建栄・東洋学園大学教授にお願いした。中国側の文献を豊富に引用した分析は定評がある。米国は自らの6割の国力となった中国を何が何でも振り落とす「6割法則」を始めたと分析し、中国は貿易戦争は中長期的に見て米国に不利になるとの判断から我慢比べの持久戦の構えであるとの解説だった。

 今後のシナリオは、①米国の抑え込みに中国が屈する、②9・11テロのような予想外の大事件で休戦、③中国が米国に追いつくG2︱を描いた。ただし、G2が実現するには、中国は政治面での民主化は避けられないと言う。文革世代の引退など世代交代が進む中国で漸進的な変化を遂げると説明した。中国が米国を完全に追い越して世界の覇権を握るというシナリオは含まれなかった。

 さて、日本へのアドバイスは、中国のメガトレンドを感情抜きに把握すべしというものだ。「先端技術を積極的に応用する中国を冷ややかに見るのは、自らを変える緊迫感がない心理の裏返し」との指摘だった。


ゲスト / Guest

  • 朱建栄 / ZHU Jianrong

    東洋学園大学教授 / Professor, Toyo Gakuen University

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