2019年07月17日 14:00 〜 15:00 10階ホール
佐々木聖子・出入国在留管理庁長官 会見

会見メモ

出入国在留管理庁の佐々木聖子長官が会見し、在留外国人の支援、共生社会の実現に向けた取り組みの現状や課題について話した。

出入国在留管理庁

司会 倉重篤郎 日本記者クラブ企画委員


会見リポート

新在留資格の意義を解説/人権関連で新対策言及せず

井田 純 (毎日新聞社夕刊報道グループ)

 4月の改正入管法施行に伴い、法務省の一部局から格上げされて発足した出入国在留管理庁。その初代長官の会見は、外国人労働者受け入れを目的とした新制度の運用に力点が置かれた。佐々木氏は、従来の技能実習制度から見た新在留資格の意義などを背景を踏まえて解説した。

 だが、入管が関わる現在進行形の「話題」といえば、このところ繰り返し指摘されるオーバーステイ外国人の収容長期化と、収容施設の医療態勢の不備などの人権問題を避けて通るわけにはいかないだろう。

 事実上の無期限収容に対する国連拷問禁止委員会からの勧告、収容施設内で拡大する抗議のハンガーストライキ、基準が明確でない仮放免不許可への申し立てや相次ぐ訴訟―。会見が質疑に移ると、深刻化するこうした問題への対応・改善策を巡り、新長官の手腕への期待を含んだ質問が複数の出席者から上がった。

 しかし佐々木氏は、長期収容が「重要な課題」であると認めながらも、入管による収容は、国外退去に応じれば「明日にでも出られる性質のもの」と繰り返し強調した。その上で、長期収容解消の方策としては「送還忌避者の退去説得」「受け入れを拒否する国への外交交渉」などを挙げるにとどまり、欧州連合が定めているような「収容期間の上限」を設ける考えがないことを示した。

 会見の約3週間前、大村入国管理センター(長崎県)では、3年以上収容されていた40代のナイジェリア人男性がハンスト中に死亡している。組織のトップとして責任を負っているはずの佐々木氏の口からは、この件について何の言及もなかった。

 母国での迫害の恐怖、日本国内に築いた生活基盤や家族など「帰ろうにも帰れない」事情を抱えて収容所の日々を送る外国人の声に、(佐々木氏には及ばないだろうが)筆者も耳を傾けてきた。「佐々木入管」の動向を今後も注視したい。


ゲスト / Guest

  • 佐々木聖子 / Shoko Sasaki

    日本 / Japan

    出入国在留管理庁長官 / Commissioner of the Immigration Services Agency

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