2018年12月10日 15:00 〜 16:30 10階ホール
「2年目のトランプ政権」(8) 中林美恵子・早稲田大学教授

会見メモ

米国中間選挙の結果、下院で女性議員が過去最多になった要因やその影響などについて分析した。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

米中間選挙、非白人女性の進出が特徴

杉田 弘毅 (共同通信社特別編集委員)

   2018年の米中間選挙は、女性の投票率が高く、女性の連邦議員が過去最高の126人に達するという「女性の年」の選挙となった。「かつて女性議員は共和党も民主党も同じ割合でいたが、今は共和党の女性議員が減っている。民主党の方がはるかに女性と親和性がある」。出口調査をみると、女性の59%が民主党に票を入れた。

 「女性の年」とは、女性が大量に当選した1992年に匹敵する、あるいは憲法修正で女性への参政権が認められた1920年を思い起こさせる。92年は白人女性の進出で注目を集めたが、今年は非白人女性の進出、つまり多様性が特徴だと分析した。

 しかも若者も非白人もこの選挙では民主党により多く投票した。そのおかげもあって米国の民意をより正確に反映する下院は、民主党が大勝だ。こう見てくると、トランプ氏の共和党には将来がないようにも思える。

 この選挙は「トランピズムの終わり、つまり潮目の変わり?」。そんな質問には「トランプさんは選挙の天才ですから」と、2020年の再選の行方については明言を避けた。今の米国を見れば、何も予測できないから、正しく賢明な答えに違いない。

 それにしても、パワーポイントで映し出してくれた初当選の女性議員たちを見ると、米国の多様性がよくわかる。ラテン系、黒人、イスラム教徒などカラフルだ。一方でトランプ氏を支持する白人たちの熱い怒りは、彼の支持率が一向に低下しないことが示すように、衰えていない。二つのアメリカの出現だ。

 気になるのは、そうした政治状況を背景にしたトランプ氏の対外政策となる。大統領に再選されるためには、ミシガン、ウイスコンシン、ペンシルベニアなどラストベルトの州で勝たなければならないが、「これらの州はみな製造業の州。米中や日米の貿易交渉が重要になってくる」。再選運動の文脈で貿易問題も見ていくべきという貴重な指摘である。


ゲスト / Guest

  • 中林美恵子 / Mieko Nakabayashi

    日本 / Japan

    早稲田大学教授 / Professor, Waseda University

研究テーマ:2年目のトランプ政権

研究会回数:8

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