2018年12月05日 16:00 〜 17:00 10階ホール
クレヘンビュール国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)事務局長 会見

会見メモ

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のピエール・クレヘンビュール事務局長が会見した。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)

通訳 宇尾眞理子


会見リポート

トランプ政権による拠出金停止で、パレスチナ難民救済事業が財政難

原田 健男 (元JNNカイロ支局長 山陽放送出身)

 国連のパレスチナ難民救済事業が財政難に陥りかけている。この事業は1948年のイスラエル建国の際起きた第一次中東戦争で故郷を追われたパレスチナ難民の救済のため行なわれてきた。しかし事業の中核を担ってきたアメリカが、拠出金の停止を決めたため資金不足となり、事業縮小の危機に直面している。

 パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のクレヘンビュール事務局長は会見で「アメリカが停止を決めた拠出金は、我々の年間予算12億ドル(日本円約1440億円)のうち3億ドル(約360億円)である。パレスチナ難民は現在ガザ・ヨルダン川西岸・エルサレム・ヨルダン・シリアなど中東各地に540万人いる。我々は彼らのために教育・保健・食糧・資金等様々な援助をしているが、このままでは事業の一部が続けられない事態に陥るため、各国や機関等に緊急の資金提供をお願いに回った。その結果日本からの4500万ドル(約56億円余)支援増を始め、各国の協力でかなりの部分を補うことができた。ただ不足は毎年続くので、できればこれからも引き続きこの支援をお願いするとともに、現在の支援国以外の新たな国々や民間団体等にも幅を広げてお願いしていきたい。」と述べた。

 パレスチナ難民は当初の70万人から今では3世代・4世代目に移り、8倍近い540万人にまで増えており、アメリカのトランプ大統領は数が増えているパレスチナ難民への支援の制限策が必要と主張している。しかし事務局長は「特に教育分野では、711の学校で53万人が学んでいるが、難民たちにとって、教育こそが特に希望を与えるものとなっている。イスラエルとパレスチナの間の紛争の解決において、こうした支援策が最も現実的で賢明な方法であると私は思う」と述べ、中東和平が進んでいない今、現在の水準での支援の継続が欠かせないと訴えた。


ゲスト / Guest

  • ピエール・クレヘンビュール / Pierre Krähenbühl

    国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)事務局長 / Commissioner-General of the United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East

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