2018年11月16日 15:30 〜 17:00 10階ホール
「消費税 これまで・これから」(2) 森信茂樹・東京財団政策研究所 税・社会保障調査会座長

会見メモ

消費税 これまで・これから (2)

消費税率上げの出発点である税と社会保障の一体化のあり方について話した。

 

東京財団森信氏ページ

 

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

税制本来の機能低下に危機感

 来年10月の消費税増税に向け、政府・与党が景気の落ち込みを防ぐための経済対策の検討を進めている。そこでは中小小売店でキャッシュレス決済すれば、2%の増税相当分をポイントで還元する仕組みが柱だ。

 だが、このポイント還元は、軽減税率の導入で消費税率が8%に据え置かれる飲食料品も対象だ。メディアで積極的な情報発信を続けている森信茂樹中央大大学院特任教授は「増税のために減税するというパラドックスだ」と批判した。

 今回の増税対策には、消費税増税を控えた駆け込み需要とそれに伴う反動減を抑える狙いがある。前回の増税時に大きな反動減が発生し、景気停滞が長引く原因になったからだ。こうした取り組みについても森信氏は「日本は消費税の価格転嫁に厳しすぎる。価格は需要と供給で決まるものであり、もっと事業者が主体的に判断すべきだ」と指摘した。

 欧州では付加価値税(消費税)の価格転嫁は事業者が独自に判断している。増税前に駆け込み需要が起きそうなら価格を引き上げ、増税後に需要が減少すれば価格を下げる。あくまで事業者が商品の需給をみて価格を決めている。その欧州では税金分を含めた総額表示ともなっており、森信氏は「外税表示で価格転嫁を図ろうとする日本の事業者向けの対策が必要だ」と訴えた。

 とくに森信氏が危機感を募らせているのは、税制が本来持つべき所得再配分機能の低下である。「アベノミクスの下で市場原理にもとづくトリクルダウンが起きなかった以上、税制を通じて所得の再分配を図らねばならない」とし、格差是正のためにも高所得者に対する金融課税の強化などを訴えた。

 そのうえで森信氏は、10%に税率を引き上げた後の消費税増税についても「親切重税国家か冷淡軽税国家の選択になる」と指摘し、国民がどのような社会保障を求めるかによって判断するべきだと見方を示した。


産経新聞東京本社論説委員  井伊 重之

ゲスト / Guest

  • 森信茂樹 / Shigeki Morinobu

    日本 / Japan

    東京財団政策研究所 研究主幹/税・社会保障調査会座長 / research director, The Tokyo Foundation for Policy Research

研究テーマ:消費税 これまで・これから

研究会回数:2

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