2018年11月07日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「消費税 これまで・これから」(1) 野田佳彦・前首相

会見メモ

野田佳彦前首相が2012年の3党合意当時を振り返り、消費税についての考え方、財政再建へ向けての思いを語った。

 

司会 川村晃司 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日)


会見リポート

無念さにじませた12年解散

山田 惠資 (企画委員 時事通信社解説委員長)

 安倍晋三首相が10月に、2019年10月の消費税の10%への引き上げを正式表明してもなお、政界では「本当だろうか」といぶかる声が渦巻いている。この日の会見でも前首相はこう語った。「3度目の正直かもしれないが、2度あることは3度ある」。そこには安倍政権への強い不信感も強くにじんでいた。

 消費税率10%は、野田政権時代の12年6月に民主(当時)、自民、公明3党でまとめた社会保障と税の一体改革に関する合意(3党合意)に盛り込まれた。首相にとって原点は財務相時代に出席したG7やG20の国際会議だった。財政健全化と経済成長がテーマとなり、日本も消費税と正面から向き合わなくてはいけないと実感。その経験が、「ケミストリーが一致」する谷垣禎一自民党総裁(当時)との3党合意につながったと振り返った。

 しかし谷垣氏の後継総裁となり、政権の座に返り咲いた安倍首相は国政選挙を前に2度、消費税引き上げを先送りした。これについては「突然、(選挙の)争点にした。3党合意の精神の魂が分かっていない」と語気を強めて批判した。

 一方で、12年の衆院解散・総選挙のタイミングに関しては忸怩(じくじ)たる思いを抱いている。党合意を決めた12年8月の谷垣総裁、山口那津男公明党代表との党首会談で口にした「近いうち解散」発言について、「本当は(9月の)自民党総裁選前の解散も(考えたが)、韓国、中国との外交案件があったため、11月の安倍首相との党首討論での解散表明になった」と述懐。さらに解散を先延ばしていれば民主党のダメージはより大きくなっていたとし、解散を遅らせる選択肢はなかった点を強調した。

 ただ、仮に9月の安倍総裁誕生前に解散に踏み切っていた場合、民主党政権崩壊は避けられなかったにせよ、その後の日本の政治風景は大きく変わっていた可能性が大きい。首相の無念さの核心はそこにある。


ゲスト / Guest

  • 野田佳彦 / Yoshihiko Noda

    日本 / Japan

    前首相 / former prime minister

研究テーマ:消費税 これまで・これから

研究会回数:1

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