2018年10月29日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「2年目のトランプ政権」(6) 米中貿易戦争 河合正弘・東京大学公共政策大学院特任教授

会見メモ

2年目のトランプ政権 (6)

投影資料

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

米中貿易戦争にどう対応すべきか/国際経済の第一人者が語る

 世界1位と2位の経済大国である米国と中国の通商摩擦が激化の一途をたどり、米中貿易戦争の影響が国際経済のみならず、今後の世界情勢にも波及するのが必至とみられている。そうした折、国際機関での勤務経験もあるこの問題の第一人者が「トランプ政権の通商政策」の観点から、米中貿易戦争の現状や今後の展望を語った。

 現在進行形のテーマで、かつ根の深い対立、問題であるだけに論点は多岐にわたった。筆者にとって特に参考になったのは、米国の対中国アプローチをめぐる解説。河合教授によれば、トランプ政権の目標は3つのレベルがあり、▽対中貿易不均衡(赤字)の是正▽中国の不公正な貿易慣行の是正―の2つについては米中間の交渉で解決を図ることが可能だとしながらも、3点目の中国の脅威の除去は「米国の安全保障に関わる、より深刻な課題であり、問題の解決には20~30年ほどの視野が必要だ」と指摘した。

 米国の中国に対する脅威意識の背景には、▽2030年までに起こるとみられる米中経済の逆転▽中国による米国主導の国際秩序への挑戦―といった看過できない流れがあり、河合教授の解説は「米国はこれにどう対応すべきか」という問題で佳境に入る。「異質な中国を排除し、対決する」のか、「中国が米国を中心とする国際秩序に同化するように関与を続ける」のか。練達のエコノミストである教授は「第2の選択しかあり得ない」と語気を強め、日本を含む国際社会に対して中国への働き掛けの具体策を列挙した。さらなる市場開放や市場経済化を迫ることをはじめ、ハイテク産業振興戦略「中国製造2025」の市場ベース化要求、人権問題での注文、広域経済圏構想「一帯一路」政策が軍事的・政治的な意図をもたないように仕向けることなど具体策は幅広い分野にわたる。

 1時間にわたった河合教授の分かりやすい、整理されたプレゼンテーションが終わった後、フロアから活発な質問が出た。その一つは「米国第一を掲げるトランプ大統領に代わる民主党の政権となった場合、対中政策は変わるのか」だったが、「すでに構造的な米中両大国のぶつかり合いは今後も続くはずで、中国を国際秩序に取り込んでいきながら共存を図っていかざるを得ないだろう」(河合教授)。米中両国との関係が深い日本としても、大いに参考になる知見だろう。


時事総合研究所研究員  伊藤 努

ゲスト / Guest

  • 河合正弘 / Masahiro Kawai

    日本 / Japan

    東京大学公共政策大学院特任教授 / Project Prof., Graduate School of Public Policy, Univ. of Tokyo

研究テーマ:2年目のトランプ政権

研究会回数:6

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