会見リポート
2018年11月13日
15:30 〜 16:45
10階ホール
ピュー・リサーチ・センター「ジャパン・サーベイ」結果発表会見
会見メモ
ピュー・リサーチ・センター(米世論調査団体)が米国時間11月12日に発表した世論調査「ジャパン・サーベイ」の結果について、調査を担当したブルース・ストークス国際経済世論調査部ディレクターが詳細を説明した。「ジャパン・サーベイ」は、日本人を対象に内政、対外関係やAI導入問題など多岐にわたる意識調査。
司会 石川洋 日本記者クラブ事務局
通訳 大野理恵
会見リポート
データから見る日本の現在地
高野 遼 (朝日新聞社会部)
「経済は上向いているが、次世代の日本には暗い未来が待っている」。日本人の多くはそう考えているという。米国の調査機関ピュー・リサーチ・センターによる世論調査から浮かび上がる結果だ。同センターが2002年から毎年実施している日本での調査結果が今年も発表された。
調査によれば、日本の経済状態を「よい」と考える人は増えている。一方、日本人の76%は「子ども世代の未来は、親世代よりも悪くなる」と回答。将来への悲観的な見方は先進国共通の傾向という。
将来を悲観する理由の一つは、ロボットなど新技術の発達だ。今後50年間で、仕事の多くが機械に取って代わられると考える人は9割。それによって格差が拡大し、職探しが困難になると考える人が7割以上にのぼった。こうした悲観論も、今回調査した9カ国で共通していたという。
ストークス氏が「興味深い結果だ」と評したのは、国会で議論が白熱している外国人の受け入れについて。日本にいる外国人が「テロや犯罪のリスクにならない」と考える人は5~6割に達し、「外国人が国家を強固にしてくれる」と好意的に捉える人が59%にのぼった。
ところが、さらに移民を増やすべきかと尋ねると、「増やすべき」と答えたのはたった23%。「移民への悪感情は少ないが、増えてほしいとも思っていない。複雑な感情が垣間見える」とストークス氏は言う。
米国で最も強い反移民感情が見られるのは、移民の少ない地域だという。他国でも、「出会ったことのない他者への恐れ」が強く出る傾向があるそうだ。今後、日本でも対移民感情がどのように変化するのかは注目に値する。
調査は他に、日米や近隣諸国との関係などにも触れている。詳細はウェブサイトで無料公開されている。
ゲスト / Guest
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ブルース・ストークス / Bruce Stokes
ピュー・リサーチ・センター国際経済世論調査部ディレクター / director of global economic attitudes, Pew Research Center