2018年08月23日 15:30 〜 17:00 9階会見場
「朝鮮半島の今を知る」(14) アメリカの対北政策 小谷哲男・明海大学准教授

会見メモ

朝鮮半島の今を知る (14)

明海大学教員紹介ページ

司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)


会見リポート

米朝交渉:両首脳の関係がカギ、「密談」が生む危うさも

 シンガポールの米朝首脳会談から2カ月あまり。その後、元米兵の遺骨返還などの動きはあったものの、本丸の核交渉は行き詰まっているようにみえ、アメリカ情報機関は秘密の再処理施設の存在を暴露するなど、保守派メディアですら非核化交渉に懐疑的な見方を伝えているのが現状だ。

 ただ、会見で小谷氏は、トランプ政権担当者の話を通じて「アメリカは粘り強い交渉を行えば、大きな進展があるかもしれないと考えている」との感触を得ていると指摘した。シンガポール合意の共同声明、第一段落にその根拠がこめられていると説明する。「トランプ大統領が北朝鮮に安全の保証を与えることを約束し、キム委員長が完全な非核化への確固たる揺るぎない約束を再確認した」。すなわち、トランプ政権は、非核化は「両首脳」の約束ごとであり、短期的ではなく、大統領任期を見据えた「粘り強い」交渉を覚悟しているという。対話の機運を丁寧に進め、具体的な動きを引き出そうとしているのが現状であり、首脳会談成功の是非を議論するのは時期尚早、というわけである。

 米朝交渉のカギを握るのが、両首脳であることは間違いないだろう。歴史的な米朝首脳会談もトップダウンで実現。北朝鮮は、アメリカに揺さぶりをかけ続けるが、最近トランプ大統領本人への非難は避けるのは、他ならぬトランプ大統領を最も信用しているからとも言われている。トランプ政権も、CIAがキム委員長に対するプロファイリングを重ねた結果「これまでの指導者とは違う交渉可能な人物」とみなしているという。

 一方、小谷氏はそんな極端なトップダウンであるトランプ政権の危うさも指摘する。トランプ大統領とキム委員長とのテタテ会談(通訳のみの1対1会談)の内容は、政権内で一切共有されていないという。米韓合同軍事演習の中止は、テタテ後の拡大会議や昼食の場では出ておらず、ペンタゴン高官は、トランプ大統領の会見で初めて知ったというから恐ろしい。我々が知らないうちに、日本を含む東アジア情勢を揺るがしかねない重大事案を、トランプ大統領が口約束していないか、非常に気になるところである。

 この会見直後には、ポンペイオ国務長官の4回目の訪朝が発表されるも、さらにその翌日、トランプ大統領本人が訪朝中止を指示するという目まぐるしい展開も迎えた。夏休みも終わりいよいよ9月、米朝の2回目の首脳会談はあるのか。北朝鮮は核の申告を行い、アメリカは終戦宣言に向けて動き出すのか。トランプ政権内に深い人脈を築く小谷氏は日本記者クラブのゲストブックに「Seek truth from facts」と揮毫した。米朝交渉において、その意味合いはますます重みを増していると感じる。


NHK報道局国際部  禰津 博人

ゲスト / Guest

  • 小谷哲男 / Tetsuo Kotani

    日本 / Japan

    明海大学准教授 / associate professor, Meikai University

研究テーマ:朝鮮半島の今を知る

研究会回数:14

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