会見リポート
2018年06月18日
13:00 〜 14:00
10階ホール
サム・キミンス RE100総括責任者 会見
会見メモ
「RE100」(本部:英国)は、操業にかかる電力を100%再エネでまかなうことを目指す企業による世界的なイニシアチブで2014年に発足、「The Climate Group」と「CDP」という2つのNGOにより運営されている。
参加企業は世界で130以上に。なぜか。「欧米では、再エネはもはや低コストの電源になっている」。日本企業は7社だけ。なぜか。「日本の再エネはまだ高コスト。潜在力に期待している」
写真右は森澤充世・CDPジャパンディレクター
司会 上田俊英 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)
会見リポート
再エネ導入遅い日本に苦言、グローバル企業撤退リスクも
深谷 優子 (共同通信社科学部)
RE100は、業務で使う電力を全て再生可能エネルギーで賄う国際イニシアチブで、世界の大企業136社が加盟する。「全部足し合わせた電力需要はポーランドかニューヨーク州に匹敵し、国に置き換えると世界22位に当たる」とアピール。うちアップルやグーグルなど25社は既に電力を100%再生エネで調達しているという。日本企業は昨年から今年にかけリコーやイオンなど7社が入り、環境省や外務省も参加を表明したことを紹介、他の企業にも参加を訴えた。
再生エネの価格は「過去7年間で太陽光は70%も下がり、米国やメキシコでは補助金がなくてもガスや石炭を競争力で上回っている」と説明。日本では再生エネの値段が高く、企業の取り組みも遅れているとして「RE100を積極的に活用してほしい」と呼びかけた。
RE100が目指すのは「電源構成の変化を主導すること」。「従来、電源に30%以上再生エネが入るとやっていけないと言われていたが、今や北欧諸国では立派にそれを超えてやっている」。再生エネに消極的な意見には、コダック社を例に挙げ「デジカメを開発した後もフィルムを守る姿勢を取り続け、2012年に破綻してしまった。再生エネでも同じことが起こっている」と指摘。「石炭火力は5年もたてば博物館行きではないか」と言い切った。
再生エネ導入が進まない日本からグローバル企業が撤退するリスクは「アップルなどRE100のメンバーは製造工場を作る際、現地で再生エネを調達しやすいかどうかで判断することはありうる」と指摘。日本には、浮体式洋上風力など高い技術力を持つメーカーもあるとして「系統連係などの障壁がなくなれば、投資が洪水のように市場に流れるだろう」と予測した。
ゲスト / Guest
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サム・キミンス / Sam Kimmins
英国 / UK
RE100 総括責任者 / Head of RE100, The Climate Group