2018年02月14日 14:30 〜 15:30 10階ホール
「栃ノ心関とジョージア」

会見メモ

初場所で初優勝したジョージア出身の栃ノ心関と出身国のツィンツァゼ駐日大使が登場した。大使が「次は大関、横綱になってほしい」と発言すると、栃ノ心関「あまり期待されるとドキドキする。自分の相撲をとるだけ」と苦笑する場面も。得意の料理や故国で誕生したばかりのわが子のことなども流暢な日本語で語った。

また、この会見中、栃ノ心関は、ジョージアの観光名誉大使に任命され、大使から委嘱状をおくられた。(写真3枚目)

 

司会:小栗泉 日本記者クラブ企画委員(日本テレビ)

通訳:吉國ゆり


会見リポート

ジョージア、初優勝で認知度急上昇

大野 周 (時事通信社運動部)

 日本から直線で約8000キロも離れたジョージアに、親しみを感じる人は多くいないだろう。遠い異国の認知度を上げたのが、1月の大相撲初場所で初優勝を遂げた栃ノ心関だ。

 初土俵から12年要した。小結まで昇進した後に右膝に大けがを負って入院し、番付は月給が支給されない幕下までみるみる転落。体もプライドも傷つきながら地道にリハビリや稽古に励み、幕内まで返り咲いた。「本当にやめなくてよかった」。乱れた服装で門限を破ったこともあるが、飾らず、実直に振る舞う現在の姿は「日本人以上に日本の心を持ってほしい」という願いが込もったしこ名にふさわしい力士だ。

 生い立ちや国柄にも注目が集まった。旧ソ連で元チャンピオンだった祖父にサンボの手ほどきを受け、柔道は少年時代に国際大会の表彰台に上がったレベル。相撲にも「スポーツ選手の気持ちは生かせている」と胸を張る。出身地の古都ムツヘタでは大半の家で自家製ワインを製造し、「売ったりせず、ほとんど自分で飲んでいる」とか。

 この日の記者会見に同席した駐日大使はジョージアの紹介で熱弁を振るった。「首都のトビリシにも温泉があり、25のスパリゾートがある。日本からの観光客増大や製品の輸入も期待したい」。アピールの場をつくった栃ノ心関には観光名誉大使の証明書を贈っただけでなく、勲章の授与が決まったことも明かした。

 さらなる発信力アップの期待も込め、大使に「ごく短い間に大関、横綱として成功を収める」とエールを送られると、栃ノ心関は「あんまり期待されるとどきどきする」と苦笑い。三役復帰が確実となる3月の春場所に向けては「もっと頑張らないと、とは思っている。大関になるとかじゃなくて、自分の力をつけて自分の相撲を取れるように頑張りたい」。周囲の喧噪をよそに、地に足を付けた抱負を述べた。


ゲスト / Guest

  • 栃ノ心 / Tochinoshin

    大相撲初場所優勝者 / Grand Champion, New Year Basho of Sumo Tournament

  • レヴァン・ツィンツァゼ / Levan TSINTSADZE

    ジョージア / Georgia

    駐日ジョージア大使 / Ambassador of Georgia in Japan

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