2018年03月20日 13:30 〜 15:00 10階ホール
曽我部真裕・京都大学教授「統治機構」:シリーズ研究会「憲法論議の視点」(5)

会見メモ

憲法論議の視点 (5)

スピーチで使用されたスライドはこちらでご覧いただけます。

 

司会 川上高志 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

 

(下記の会見リポートは、「新しい人権(プライバシー、AI)」山本龍彦・慶応大学教授3月15日との統合版です)

YouTube会見動画

会見詳録


会見リポート

憲法の2本柱を議論

 シリーズ研究会「憲法論議の視点」の締めくくりとなる4、5回目は、人権と統治機構という、憲法の2本柱について、気鋭の憲法学者が最新の論点を披歴した。

 4回目は、山本龍彦慶大教授が、AI(人工知能)社会のリスクに切り込んだ。

 企業が新卒採用者の適性判断にAIを用いるようになると、一部の大学生は、どの企業にエントリー・シートを出しても、次から次に不採用となる事態が起きうる。理由は、SNSの友達に市民活動家がいるからかもしれず、数年前に外国の反政府活動家の写真に「いいね」を押したからかもしれない。だが、本当の理由は誰にも分からない――。

 サイエンス・ホラーのような話だが、永田町でほとんど顧みられていない憲法課題といってよい。山本氏は幸福追求権(憲法13条)などを根拠としたプライバシー権の中でも自己情報コントロール権的な規定を設けることで解決する案を示し、「憲法事実(憲法改正の必要性)があるのではないか」と話した。

 5回目は、統治機構の課題を曽我部真裕京大教授が取り上げた。

 立憲主義の考え方からは、権力を縛る憲法の「統制力」だけでなく、迅速・的確に権力を行使する「推進力」も求められているとの認識を示す一方で、現在の日本では与党が強く、政権交代がないことが問題だとして、野党に奮起を促した。また、日本の国会では法案について丁寧な逐条審議が行われていないこと、請願権の活用が求められること、といった課題も摘示された。

 質疑では、民主党政権の失敗を念頭に出席者から「政権交代と言われても、我々は幻滅してしまっている」といった疑問の声も上がったが、曽我部氏は「政権交代は政官の関係にも(良い方向で)影響する。その重要性を改めて申し上げたい」と訴えた。


読売新聞調査研究本部主任研究員  舟槻 格致

ゲスト / Guest

  • 曽我部真裕 / Masahiro Sogabe

    京都大学教授 / Professor, Kyoto University

研究テーマ:憲法論議の視点

研究会回数:5

前へ 2018年06月 次へ
27
28
29
30
31
2
3
4
8
9
10
13
16
17
20
21
22
23
24
26
28
29
30
ページのTOPへ