2018年02月21日 18:15 〜 19:45 10階ホール
「被害者報道を考える」(1)高橋シズヱさん/河原理子 朝日新聞記者

会見メモ

被害者報道を考える (1)

「地下鉄サリン事件被害者の会」代表世話役の高橋シズヱさんが、朝日新聞記者の河原理子さんが、それぞれ自らの経験から被害者報道のあり方について話し、会場の記者と意見を交わした。

 

『〈犯罪被害者〉が報道を変える』高橋シズヱ、河原理子編(岩波書店)

 

司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)


会見リポート

体験通じ課題指摘

 神奈川県座間市で9人の遺体が見つかった事件では、被害者報道のあり方が問われた。実名か匿名か。顔写真を載せるか。遺族らにどう接するか―。研究会は、記者やデスク、キャップたちが、多忙と疲労の中で抱いた悩みから始まった。

 一回目に登壇した高橋シズヱさん(右)は、地下鉄サリン事件で夫を亡くし、直後のメディアスクラムの怖さを明かした。葬儀、事情聴取、初めてのことがどっと押し寄せて戸惑っているのに、自宅に記者とカメラが集まり、帰れない。「記者たちは、私の生活を邪魔する存在だった」

 「突然、今の気持ちを、と聞かれても答えられない。間違った情報の拡散を防ぐために、正確な報道をしてほしいのに」。ほとんどの遺族が、記者に初めて会う。丁寧に接してもらいたい。取材意図を「事件の風化を防ぐため」と言われても、遺族は何年たっても、事件は昨日のことのよう。「被害者に向かって、風化と言わないで」とくぎを刺した。

 時間がたっても、話したいことがあっても、出会いがスクラム状態では、遺族らは記者が怖い。被害者取材の経験が豊富な河原理子さんは、社内や業界で研修会を開き、事件当事者の体験を聞いた上で、対応を議論することが大事と強調した。

 被害者の匿名と実名に分かれた過去の事件で、河原さんは匿名の紙面の方に、冷たさを感じたという。高橋さんは「遺族はそう思うかしら?」と疑問を投げかけた。書く側と書かれる側の違いをにじませた。

 これからも事件や事故が起きれば、私たちは遺族を割り出し、家へ行く。行けと言う。入り口に立たないと、何も分からないから。ただそのとき、遺族らの心情に少しでも思いが至れば、取材や掲載の姿勢が、何か変わってくるはずだ。


東京新聞社会部警視庁キャップ  大野 孝志

ゲスト / Guest

  • 高橋シズヱ / Shizue Takahashi

    地下鉄サリン事件被害者の会代表世話役

  • 河原理子 / Michiko Kawahara

    朝日新聞 記者 / Seniror Writer, The Asahi Shimbun

研究テーマ:被害者報道を考える

研究会回数:1

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