2017年12月13日 10:00 〜 11:00 10階ホール
羽生善治「永世7冠」会見

会見メモ

今月、第30期竜王戦七番勝負で竜王を奪取し、史上初の永世七冠を獲得したばかりの羽生善治氏が登壇した。この日、羽生氏が囲碁の七冠である井山裕太氏と共に国民栄誉賞の対象者として検討されていると報道されたこともあり、より注目が高まった。会見では、自身の将棋観やコンピューター時代の棋士のあり方などに言及、次の目標として「通算1400勝」をあげた。国民栄誉賞については「検討していただけるだけでも名誉なこと」と語った。

 

司会:小栗泉 企画委員(日本テレビ)

 

日本将棋連盟棋士ページ

 

 

YouTube会見動画

会見詳録


会見リポート

将棋の「本質」語る

上田 俊英 (企画委員 朝日新聞社編集委員)

 会見当日の朝、政府が「国民栄誉賞」の授与を検討しているというニュースが飛び込んできた。プロ棋士になって、31年。「検討していただけるだけでも名誉なこと。引き続き棋士として、きちんとまい進していきたい」。淡々とした語り口が、むしろ威厳さえ感じさせた。

 

 12月5日に第30期竜王戦を制し、唯一残っていた「永世竜王」の資格を得た。「1つの大きな地点にたどり着くことができた。自分としても感慨深く思っている」。勝ち筋が見えたときに手が震えたのは、その瞬間に「われに返る」からだという。

 

 プロ棋士の「頭の中」も垣間見せてくれた。将棋にさほど詳しくない私さえ「なるほど」と感じるのは、それが将棋の本質を語り、社会の本質ともつながっているからだろう。

 

 例えば、棋士としての自信を問われ、「棋士は何十手も何百手も読めるので、常に先を見通して考えているイメージをもたれていると思うが、実際はそんなことはない。十手読めても、現実に起こる十手先の局面を想定することは、ほとんどできない。実際に起こるのは予想外、想定外のケースがほとんどで、やっていることは意外と暗中模索」。

 

 相手があることでもあり、言われてみれば、その方が当然のように思える。現実の社会を見ても、「十手先の局面」は、たいていは「予想外、想定外」のことばかりである。

 

 AI(人工知能)の登場で将棋は変わったのか尋ねられると、「コンピューターは膨大な情報を生み出してくれる。それを受け入れるか、受け入れないかは、人間の美意識によるところが非常に大きいと思う」と語った。

 

 将棋の将来については、「指すとか見るとか、さまざまな形で、日々の生活の中で少しでも浸透し、存在してほしいと日々、思っている」と述べた。多くの言葉が文化としての将棋を語っていたことが、印象深かった。


ゲスト / Guest

  • 羽生善治 / Yoshiharu Habu

    日本 / Japan

    永世7冠 / holder of 7 eisei lifetime Shogi titles

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