会見リポート
2018年01月17日
13:30 〜 15:00
10階ホール
「2018年経済見通し」(2)中国経済とアジア 吉野直行 アジア開発銀行研究所所長
会見メモ
会見リポート
動き出す中国バブル退治
久永 健志 (西日本新聞社東京支社報道部)
中国経済はバブルなのか―。その判断指標として、吉野氏は①銀行貸し出しの全体の伸びと不動産向けの伸びの比率②経済成長率と銀行貸し出しの伸び率③住宅価格を所得で割った比率―の3つを挙げ、それらに照らして「中国でもバブルの傾向は出ている」と警告した。
資本移動規制のため、巨額のマネーが国内で循環する中国。バブルを生み出す根は深い。加えて「根本的原因」と強調したのは「中央政府と地方政府の税の分担」だ。税収の多くを中央政府に取られているため、独自の税収を確保しようと土地を切り売りする地方政府にとって地価は上がるに越したことはない。吉野氏は「中国は中央と地方の税のバランスに着手している」「不動産課税も検討している」と述べた。今後は、対策のスピードが問われよう。
一方、マネーが流れ込んで急成長しているのがフィンテック。スマートフォン決済など、この分野で日本は出遅れている。「将来、金融業にとって脅威になる」と指摘した。
ゲスト / Guest
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吉野直行 / Naoyuki Yoshino
アジア開発銀行研究所所長 / Dean, The Asian Development Bank Institute
研究テーマ:2018年経済見通し
研究会回数:2