2017年11月20日 15:00 〜 16:30 10階ホール
グランディ 国連難民高等弁務官 会見

会見メモ

9月下旬にバングラデシュのロヒンギャ難民キャンプを訪れ、UNHCRの支援活動を視察した。「1990年代以降、最も深刻な危機にある。現地は全てのものを必要としている」と警告した。

会見の席上、日本人初のUNHCR親善大使に、米国を中心に活動するギタリストのMIYAVIさんを任命した。(写真4-5枚目)

 

司会    杉田弘毅 企画委員(共同通信社)

通訳 長井聡子

 

UNHCR

MIYAVI公式サイト


会見リポート

ロヒンギャ難民は「深刻な危機」

 「1990年代にバルカン半島やルワンダで起きた出来事と同じくらい深刻だ」――。国連難民高等弁務官のグランディ氏は会見で、ロヒンギャ難民の問題を指して、東西冷戦の後では最悪の難民危機であると言い切った。8月下旬以降、迫害を受けたミャンマーから隣国バングラデシュに逃れたロヒンギャと呼ばれる人々は60万人を超えた。会見でのやりとりは、彼らの扱いや解決への取り組みに集中した。

 

 当事国のミャンマーでは会見と同じ日、アジア欧州会議(ASEM)外相会合が開幕し、同国の民主化の旗手、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相の対応が注目を集めた。

 

 東京の会見でも、改善に向け指導力を発揮できないスー・チー氏に対する思いを引き出そうとする質問がグランディ氏に向けられた。だが、同氏は「表面的な判断を下すべきでない」と返した。憲法の規定で、軍部がなお、国政に大きな影響力を持つミャンマーの実情に理解を示し、スー・チー氏への批判を避けた。世界の国々をメンバーとする国連の主要機関のトップとして、バランス感覚の巧みさを見せつけた格好だ。

 

 熟練の外交官はほかの難民問題も忘れていない。今回の訪日では上川陽子法相、河野太郎外相らと相次ぎ会談した。シリア難民らの受け入れ拡大などを求めたようだ。会見ではさらに懸念する話題が口をついた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対する日本の拠出金額が「かつての世界2位から4位に下がった」と嘆く。イラクなどでは紛争で自宅を失った国内難民も目立つ。サウジアラビアとイランの緊張が高まり、UNHCRの仕事は尽きない。

 

 グランディ氏は会見前、同じ会場で、日本人初のUNHCR親善大使に任命されたミュージシャンのMIYAVIさんを紹介した。財政規律を理由に難民支援と距離を置き始めた日本への強いメッセージだろう。


日本経済新聞社編集委員  加賀谷 和樹

ゲスト / Guest

  • フィリッポ・グランディ / Filippo Grandi

    国連 / United Nations

    国連難民高等弁務官 / United Nations High Commissioner for Refugees

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