2017年12月12日 13:00 〜 14:00 9階会見場
ビーズリー 国連WFP事務局長 会見

会見メモ

米下院議員、州知事を経て昨年4月から現職。「紛争に起因する飢餓が増え、その対策で費用がかかり、非紛争地への支援が不足している」と現状を訴えた。トランプ政権下で「国連離れ」が進んでいるのでは、との質問には、「ホワイトハウスや米議会関係者に、効果的な人道援助は安全保障にとっても大事だと訴えており、米国は人道支援の約束を守っている。単独主義になったとは思わない」と答えた。北朝鮮については「WFPの現地チームの現状報告を待っている」と述べた。

 

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBSテレビ)

通訳 森岡幹予(サイマル・インターナショナル)

 

国連WFP


会見リポート

「食糧を平和のための武器に」

 「地球上でもっとも気に入っている場所に来ることができて嬉しい」。時折ジョークを交えながらも「飢餓に苦しむ人が7億7700万人まで減少したあと再び増加に転じ、8億1500万人となった。うち1億900万人は次の食事のあてもない危機的状況にある」「去年食糧援助に57億から59億ドルを使い、今年は予算を10億ドル増額したが、まだ20億~30億ドル足りない」等々、メモも見ずにスラスラと数字を出して説明した。

 

 90年代後半にアメリカのサウスカロライナ州知事を務め、ハリケーン襲来時は数十万人の住民の避難や食糧・医療サービスなどで優れた統率力を発揮した。4月に現在のポストの誘いを受けた際には「第二次世界大戦後最大の人道危機にありながら米国が拠出金を削っているのに米国人の自分で良いのか」と悩んだという。着任後その状況を変えるために、「人道援助は過激主義やテロから米国民の安全を守るためにも極めて重要だ」と米政府に働きかけた結果、米政府はWFPへの拠出金を増額。多国間主義を否定しアメリカ第一主義を貫くトランプ政権だが、人道支援の約束はいっさい破ってないと事務局長は述べた。着任からの250日のうち200日は、シリアやイエメン、ソマリア、ナイジェリアなど世界各地を飛び回ったという。信念の人であり、精力的なリーダーという印象を受けた。

 

 「予算の82%がイエメンやイラク、シリア、南スーダンなど紛争地域の人々に使われ、非紛争地域への支援が十分できない」と苦しい胸のうちを明かした。「飢餓の状況が1%悪化すれば移民が2%増える。飢餓がなくなれば移民問題も解決する」という。そのためにも「食糧を平和のための武器にしたい。人々を団結させるための武器なのです」。子どもたちが安心して食べることのできる世界を希求するという明瞭で力強いメッセージが発せられた会見だった。


NHK解説委員  二村 伸

ゲスト / Guest

  • デビッド・M・ビーズリー / David M. Beasley

    国連 / United Nations

    国連世界食糧計画(WFP)事務局長 / Executive Director, the United Nations World Food Programme

前へ 2018年08月 次へ
29
30
31
1
2
4
5
6
8
9
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
25
26
28
29
30
31
1
ページのTOPへ