2017年12月13日 14:00 〜 16:00 10階ホール
北欧5カ国駐日大使共同会見 「北欧モデル最新情報」

会見メモ

写真左から

デンマーク : フレディ・スヴェイネ大使

フィンランド : ユッカ・シウコサーリ大使

アイスランド : ハンネス・ヘイミソン大使

ノルウェー : トム・クナップスクーグ参事官(アーリン・リーメスタ大使の代理) 

スウェーデン : マグヌス・ローバック大使

司会:石川洋 日本記者クラブ

通訳:渡辺奈緒子、秋山賛

 


会見リポート

ベーシック・インカムで誰でも毎月7万5000円!

竹田 忠 (企画委員 NHK解説委員)

 高福祉・高負担なのに、経済成長も結構高い。日本と対極(?)にある北欧5カ国の大使に直接聞こうという日本記者クラブ2度目の企画。

 

 今回、特に注目が集まったのは、フィンランドが国レベルとしては史上初の実験に踏みきった「ベーシック・インカム」。国民全員に無条件に一定の現金を配るという夢のような話。実験は2018年12月までの2年間で、25歳から58歳までの失業者2千人をランダムに選び毎月7万5千円を支給する。所得制限はなく、就業しても給料にプラスして、もらい続けるという。

 

 日本でも究極の社会保障として議論する人はいるものの、労働意欲をそぐことが最大の課題、と思っていたら、フィンランド大使によると何と真逆だという。「目的は働いてもらうこと。失業者だけに支給すると、手当てをもらうために仕事をしないインセンティブの“ワナ”にはまってしまう。これを避けるために働いても、働いていなくてももらえるようにする。こうすれば、たとえ短期的な仕事でも、まず働いて収入を増やそうということになる。フリーランサーや自営業の人にも向いている」。うーんなるほど。

 

 目からうろこの話は続く。ノルウェーは男女平等で国会議員の4割は女性。女性も兵役義務があり、兵役を務めている人の3分の1は女性という。

 

 アイスランドは高い教育レベルを国際化が支えていて、人口の1%ぐらいはいつも海外留学していることになるという。

 

 スウェーデンは欧州の中で人口一人当たりトップの大量移民を受け入れながら、この負担を長期的なチャンスにかえると大使は希望を語る。

 

 そしてデンマークでは企業は人の解雇が簡単にできるが、それは国が手厚い転職支援をする積極的労働市場政策をとっているためで、日本に欠けているのは当局への信頼だ、と大使が本質論を指摘。アッという間の2時間で、その信頼の違いがどこから来るかはまた次回に。


ゲスト / Guest

  • フレディ・スヴェイネ / Freddy SVANE

    デンマーク / Denmark

    駐日デンマーク大使 / Danish Ambassador to Japan

  • ユッカ・シウコサーリ / Jukka SIUKOSAARI

    フィンランド / Finland

    駐日フィンランド大使 / Finnish Ambassador to Japan

  • ハンネス・ヘイミソン / Hannes HEIMISSON

    アイスランド / Iceland

    駐日アイスランド大使 / Icelandic Ambassador to Japan

  • トム・クナップスクーグ / Tom Knappskog

    ノルウェー / Norway

    駐日ノルウェー大使館参事官 / Councilor, Norwegian Embassy in Japan

  • マグヌス・ローバック / Magnus ROBACH

    スウェーデン / Sweden

    駐日スウェーデン大使 / Swedish Ambassador to Japan

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