2017年10月20日 15:00 〜 16:30 9階会見場
著者と語る『戦争の大問題』 丹羽宇一郎 元中国大使

会見メモ

民間出身初の中国大使を2010年から2年間務め、現在は日中友好協会会長。日中国交回復45周年を機にまとめた『戦争の大問題』を語る会だったが、話は日中関係から習近平、金正恩、トランプ、安倍一強、総選挙…と止まらない。縦横無尽の“丹羽節”は会見動画でどうぞ。

 

司会:川村晃司 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日)


会見リポート

悲惨な戦争の事実知るべき

 40年ほど前、わざわざ終着駅のある郊外に家を構えたのは、座って本を読む時間を捻出するためだった。2010年、民間出身では初の中国大使に就任、日中友好協会会長を務める今も、始発駅からの1時間の読書が「極上です」という活字の虫は、新聞も丹念に読む。1つの記事を書くために記者がいかに足を使っているかは、伊藤忠商事のアメリカ駐在時代、穀物相場の現場を歩いた経験からよく知っている。だからこそ自分が本を書くときにも取材する。

 

 戦後72年目のこの夏出版した『戦争の大問題』(東洋経済新報社)では戦争体験者、軍事専門家に聞いて歩き、いかに戦争が人間性を狂わせるかを事実で示した。「人間は動物的で賢くもあれば、鬼や邪になることもある非合理な存在。その人間を愚かにする戦争の真実から目を覆ってはいけない」

 

 世界の指導者の多くに戦争体験がなく、戦争を格好いいと思いこんでいる若い世代がいることに危機感を覚える。「私たち日本人には原爆の惨禍を知っている人もいる。戦争の悲惨な事実を知ってもらおうと、この本を書きました」

 

 北朝鮮の核・ミサイル開発を巡り米朝対立が激化していることを懸念している。最大の心配は、金正恩体制下の北の指導層と対話のチャンネルを持っている国が少ないことだ。「力で圧力をかけてごめんなさいという国はないし、力ずくで頭を下げろというのは子どもの喧嘩。窮鼠猫を噛む、ではないが、戦前にアメリカがハル・ノートで日本を追い込み、戦争になったように、力で北朝鮮を追いつめる〝出口なき戦略〟は暴発を生む可能性がある」と憂慮した。

 

 ビジネスも外交も基本は「信頼関係」という丹羽さんは、本書をはじめ著書の印税を、中国から日本に来る私費留学生の奨学金として全額寄付している。本の出版は、隣国とのパートナーシップづくりのためでもあるのだ。


読売新聞社編集委員  鵜飼 哲夫

ゲスト / Guest

  • 丹羽宇一郎 / Uichiro Niwa

    日本 / Japan

    元中国大使/元伊藤忠会長 / Former Ambassador to China

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