2017年10月26日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「総選挙後の日本 民意を読む」松本正生 埼玉大学教授

会見メモ

国政選挙直後恒例の松本分析。

1022日に行われた衆院選の結果を「バーチャル選挙と『四分六分感覚』」と題して語った。

18歳の投票率が高いのは『記念投票』。体験だけで終わらせてはいけない」「いまやSNSは若者たちの『社会の窓』」「世論調査は報道機関が長年蓄積した日本人の重要な指標」。

 

埼玉大学研究者紹介

 

司会 山田惠資 日本記者クラブ企画委員(時事通信)


会見リポート

“安倍1強”に「四分六分」感覚

泉 宏 (時事通信出身)

 「選挙の風」が定まらず、投開票日は超大型台風直撃という想定外だらけの第48回衆院選は、自民圧勝・与党313議席という「何も変わらない拍子抜けの結末」に終わった。

 

 クラブでの選挙結果分析会見が7度目の松本氏は今回の国民の審判を、長期化する安倍晋三首相による“1強政治”に対する有権者の「四分六分感覚」がもたらしたもの、と結論付けた。

 

 突然の解散・総選挙は、「今しかない」と仕掛けた首相と、「チャンス到来」と希望の党を旗揚げした小池百合子東京都知事の2人が“主役”だったが、首相が笑い、小池氏が泣いた。

 

 松本氏は全国の選挙戦を「『希望』ってどこの話?だった」と指摘し、有権者は「おおむね安倍支持4割、不支持6割」だったが、「結局、自民党には入れるけど、安倍さんにはクギを刺したい」との思いで投票した結果では、と読み解いた。

 

 一方、投票年齢引き下げで有権者となった未成年の投票率で、初投票の18歳組を2度目の19歳組が約2割も下回ったことについては、埼玉県内での独自の「出口調査」結果も踏まえて、「18歳は、『とにかく1回は行ったよ』という“記念投票”だったのでは」との見方を示した。

 

 さらに松本氏は、「政治家は信用できない、が5割以上」との中高生の意識調査を挙げ、18歳から29歳までの若年層が高年齢層より「自民支持が多い」との世論調査結果が出ている点についても、「若者がこのままでいいと考えた結果とは言い切れない」と疑問を呈した。

 

 大手メディア各社が選挙ごとに全国世論調査を実施する現状について松本氏は、スマホの急速な普及などから「いつまで続けられるのか」と不安視する一方、各社が定期的に実施している内閣支持率調査は「一番客観的数字」と評価した。さらに、「世論調査はまだまだ意味がある」としながらも「メデイアの側の世論形成力が落ちている」と苦言も呈した。


ゲスト / Guest

  • 松本正生 / Masao Matsumoto

    日本 / Japan

    埼玉大学教授 / Professor, Saitama University

研究テーマ:総選挙後の日本 民意を読む

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